風俗店で18歳未満を働かせて児童福祉法違反
- 2021年3月16日
- コラム
風俗店で18歳未満を働かせて児童福祉法違反
風俗店で18歳未満の者を働かせて児童福祉法違反となった場合について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所堺支部が解説します。
~事例~
大阪府堺市にある風俗店で店長をしているAは、面接に来たVを採用し、派遣型性風俗で働かせていました。
Aの店では、依頼を受けた客の下へ女性を派遣し、性的サービスを提供する店でした。
しかし、実は、Vは17歳であり、あるときAは児童福祉法違反の疑いで大阪府堺警察署に逮捕されてしまいました。
(この事例はフィクションです。)
~児童福祉法~
児童福祉法では、満18歳に満たない者が児童と規定しています。(児童福祉法第4条)
そして、児童福祉法34条1項6号では「児童に淫行させる行為」が禁止されています。
違反すると「10年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金またはこれを併科する」と規定されています。
今回の事例のように、性風俗店で働かせていた場合などは淫行させる行為としてイメージしやすいかと思いますが、過去には個人的に教師が生徒に対して自慰行為をさせた事例も淫行「させる」行為として児童福祉法が適用された例もあります。
なお、児童福祉法では児童に淫行「させる」行為について規定しています。
児童と淫行を「した」場合は各都道府県の青少年保護条例に抵触する可能性が高いです。
児童福祉法は児童の福祉の保証のため児童福祉施設やその職員などさまざまなことついても規定されている法律です。
その目的は犯罪者の矯正ではなく児童の福祉の実現なので、ほとんどが非親告罪となっており告訴がなくても起訴されることになります。
~児童の年齢を知らなったという場合~
今回の事例では、Aの認否は明らかになっていませんが、18歳未満の者を勤務させていた風俗店が児童福祉法違反となり、店長などが逮捕された場合、児童が18歳未満であることを知らなかったと主張することも考えられます。
しかし、罰則を規定している児童福祉法第60条の第4号では
「児童を使用する者は、児童の年齢を知らないことを理由として、前三項の規定による処罰を免れることができない。ただし、過失のないときは、この限りでない。」
と規定されているため、単に児童の自己申告によって判断した場合などは処罰を免れることはできないでしょう。
ただ、身分証明書を確認したら、偽造された身分証で18歳以上になっていたなどの事情があれば過失なく知らなかったと主張できるかもしれませんので、具体的事件に関しては、刑事事件に強い弁護士の見解を聞くようにしましょう。
~弁護活動~
児童福祉法違反の弁護活動では、被害者である児童との示談交渉が挙げられますが、示談の相手方が未成年者であることから、その保護者と示談交渉をしていくことになります。
大切なお子さんが傷つけられた保護者の方の処罰感情が大きくなっていることは容易に想像できます。
そのため、児童福祉法違反の示談交渉は困難になることが予想されるでしょう。
こういった困難が予想される示談交渉には、刑事事件の経験が豊富な弁護士に依頼するようにしましょう。
刑事事件の経験が豊富な、刑事事件に強い弁護士であれば、示談交渉を安心してお任せいただけるだけでなく、今回の事例のように逮捕されてしまっている場合でも、身体解放に向けた適切な活動を行っていくことができます。