飲酒運転で死亡事故 危険運転致死罪で起訴
- 2023年9月29日
- コラム
飲酒運転で死亡事故 危険運転致死罪で起訴された事例
~事例~
会社員のAさんは、泉佐野市内の居酒屋でビールや焼酎などを飲み酩酊していました。
その後帰宅したAさんは、近所のコンビニに行こうと、自分の車を運転しました。
そしてコンビニまでの道中で高校生が運転する自転車に追突してしまったのです。
高校生は病院に搬送されましたが、その後死亡しました。
事故当時の状況を全く覚えていないほど泥酔していたAさんは、危険運転致死罪で逮捕、勾留され、その後起訴されてしました。
(実際に起こった事件を参考にしたフィクションです。)
~飲酒運転と危険運転致死罪~
今回の事例では、被告人が飲酒運転の末に死亡事故を起こし、危険運転致死罪で起訴されるに至っているようです。
危険運転致死罪は、いわゆる「自動車運転処罰法」(正式名称「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律」)に定められている犯罪で、条文は以下の通りです。
自動車運転処罰法第2条
次に掲げる行為を行い、よって、人を負傷させた者は15年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は1年以上の有期懲役に処する。
第1号 アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させる行為
危険運転致死罪は、自動車運転処罰法第2条第1号~第8号に挙げられている、いわゆる「危険運転」行為をしたことによって人を死なせてしまったことに対して成立する犯罪です。
この第1号では、「アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させる行為」がいわゆる「危険運転」の1つとして定められています。
このほかにも、制御することが困難な速度で運転すること(第2号)や、赤信号を殊更に無視し重大な危険を生じさせる速度で運転すること(第7号)などが危険運転の種類として挙げられています。
今回取り上げた事例では、Aさんが飲酒運転をした結果死亡事故を起こし、それによって危険運転致死罪に問われているようです。
危険運転致死罪の条文にもある通り、危険運転であると判断されるためには、事故が「アルコール…の影響により正常な運転が困難な状態」の運転によって引き起こされたものでなければなりません。
すなわち、単なる飲酒運転による事故では危険運転致死罪にはならず、危険運転致死罪といえるには飲酒による運転への影響が一定程度大きくなければならないということになります。
今回の事例では、報道によると被告は事故直後に酩酊状態であったとされていることから、飲酒運転で「正常な運転が困難な状態」での運転、死亡事故であったと考えられ、危険運転致死罪での起訴に至ったのでしょう。
危険運転致死罪は、その刑罰が「1年以上の有期懲役」と定められています。
刑罰の下限が「1年以上の懲役」と決められていることからも、重い犯罪であるということがお分かりいただけるでしょう。
さらに、この危険運転致死罪は、危険運転行為という故意の行為によって人を死亡させた事件であるため、裁判員裁判の対象事件でもあります。
重い犯罪であることや、通常の刑事裁判と異なる手続きも多い裁判員裁判の対象であることなどからも、早めの弁護士への相談・依頼をおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、危険運転致死事件などの交通事故に関連する刑事事件についても、ご相談・ご依頼を受け付けています。
まずはお早めにお問い合わせください。