窃盗罪における不法領得の意思
- 2021年1月29日
- コラム
窃盗罪における不法領得の意思
窃盗罪における不法領得の意思について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所堺支部が解説します。
~事例~
大阪府岸和田市に住むAは、同僚Vからいつもばかにされていました。
あるとき、ついに我慢できくなったAは、オフィスに置いてあったVの財布とスマートフォンをいやがらせ目的で持ち帰りました。
オフィスの防犯カメラの映像から、Aの犯行であることを知ったVは大阪府岸和田警察署に通報しました。
Aは、窃盗罪で大阪府岸和田警察署から呼び出しを受けましたが、いやがらせ目的でも窃盗罪となってしまうのかと思い、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所堺支部の無料法律相談に行くことにしました。
(この事例はフィクションです)
~窃盗罪の成立~
刑法第235条 窃盗罪
「他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する」
他人の物を盗むと窃盗罪となることはみなさんご存知かと思われますが、窃盗罪は他人の財物を取ればそれだけで成立するというわけではありません。
窃盗罪の成立には、不法領得の意思が必要だとされていますので、今回の事例のようにいやがらせ目的の場合には、窃盗罪は成立しないこともあります。
~不法領得の意思~
「不法領得の意思」は、条文にはありませんが、判例上認められている要件です。
不法領得の意思とは、「権利者を排除し、他人の物を自己の所有物と同様にその経済的用法に従い、これを利用し又は処分する意思」です。(最判昭26・7・13)
「経済的用法に従って利用・処分する意思」とは、経済的に利益を受ける意思や、その物の用途にかなった使用をする意思、財物から生じる何らかの効用を受ける意思を含みます。
今回の事例でいえば、持ち去った財布やスマートフォンをネットやリサイクルショップに転売しようとしたり、財布の中の現金を抜き取ったりしていた場合などは不法領得の意思が認められる可能性は高いでしょう。
しかし、Aのように「いやがらせ目的」で、他人の財物を持ち去っただけだという場合には、経済的用法に従って利用、処分する意思を欠いているため、不法領得の意思が認められない可能性があります。
~取調べの前に弁護士に相談を~
不法領得の意思はなかったと主張していくように、内面の主観的な部分について取調べで主張していくには、前提の知識も必要となってきます。
そのため、取調べに呼び出されたという場合には、取調べの前に刑事事件に強い弁護士に相談し、取調べのアドバイスを受けるようにしましょう。
警察官は取調べのプロであるのに対し、ほとんどの方にとって取調べを受けるという経験は初めてのことでしょう。
そこで、刑事事件に強い弁護士のアドバイスが必要となってくるのです。
また、不法領得の意思はなかったとして窃盗罪の成立が否定されたとしても、物の隠匿行為については、器物損壊罪が成立する可能性が高いです。
そのため、不起訴処分により、前科の回避を求めていきたいという場合には、最終的な処分に向けた適切な弁護活動を行っていく必要があるでしょう。
刑事事件に強い弁護士であれば、被害者との示談交渉についても安心してお任せいただくことができますし、検察官と処分交渉を行っていくことも可能です。
窃盗罪やその他の刑事事件でお困りの方は、今すぐ刑事事件・少年事件を専門に扱う弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
刑事事件・少年事件に強い弁護士が、初回無料法律相談を行っています。
また、ご家族が窃盗罪やその他刑事事件で逮捕されてしまったという場合には、刑事事件に強い弁護士を派遣させる初回接見サービスもございます。
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