河内長野市の飲酒運転による人身事故
- 2019年10月24日
- コラム
河内長野市の危険運転致傷事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所堺支部が解説します。
◇事件◇
河内長野市内において、飲酒運転で国道を逆送し、対向の車に衝突する事故を起こし、男性に大けがをさせたとして、危険運転致傷罪の容疑で女性が逮捕されました。
逮捕された女性は、事故直前に国道を約240メートルも逆送しており、事故当時、警察官と話ができないほどの泥酔状態だったということです。
(令和元年9月19日に、河内長野市内で実際に発生した交通事故です。)
◇飲酒運転◇
お酒を飲んで車を運転すれば、酒気帯び運転、若しくは酒酔い運転となることは皆さんご存知でしょう。
飲酒運転は、道路交通法によって取締りを受け、その際の法定刑は
酒気帯び運転・・・3年以下の懲役又は50万円以下の罰金
酒酔い運転・・・5年以下の懲役又は100万円以下の罰金
です。
飲酒運転は死亡事故につながる悪質な違反ですので、警察は取締りを強化しています。
また、かつては「飲酒運転は、現行犯でなければ取り締まれない。」と言われていたようですが、最近は、警察官が運転を現認していなくても、防犯カメラの映像などから飲酒運転が裏付けられる事件もあるので注意しなければなりません。
◇飲酒運転による人身事故◇
~過失運転致死傷罪~
飲酒運転で人身事故を起こせば、過失運転致死傷罪が適用されます。
過失運転致死傷罪とは、自動車を運転するに際に、過失によって事故を起こして相手を死傷させた場合に適用される法律で、その法定刑は「7年以下の懲役もしくは禁錮または100万円以下の罰金」です。
ただし飲酒運転による人身事故の場合は、先述した「酒気帯び運転」若しくは「酒酔い運転」といった道路交通法違反との併合罪が成立するので、刑事罰は厳罰化されます。
酒気帯び運転による人身事故・・・10年以下の懲役もしくは禁錮または150万円以下の罰金
酒酔い運転による人身事故・・・10年6月以下の懲役もしくは禁錮又は200万円以下の罰金
~危険運転致死傷罪~
今回の事件で逮捕された女性は、上記の過失運転致死傷罪ではなく、危険運転致死傷罪が適用されています。
危険運転致死傷罪は、アルコールの影響により正常な運転ができないのに運転をして人身事故を起こしてしまった場合に適用される犯罪で、過失運転致死傷罪よりも厳罰化されています。
正常な運転ができない状態だったかどうかは、事故前の飲酒量や運転状況、事故前後の言動などから総合的に判断されます。
今回の事件報道を見てみますと、飲酒検知結果(飲酒量)こそ明らかになっていませんが、逮捕された女性が、報道されているとおり
●事故直前に国道を逆送している。
●事故後に警察官と話ができないほど泥酔していた。
状態であったのであれば、危険運転致死傷罪でいうところの「正常な運転ができない状態」と認められる可能性は非常に高いでしょう。
危険運転致死傷罪の法定刑は
相手がケガをした場合・・・15年以下の懲役
死亡した場合・・・1年以上の有期懲役
です。