大阪府警がチケット不正転売禁止法違反事件を初摘発
- 2019年10月26日
- コラム
大阪府警が施行後初めて摘発したチケット不正転売禁止法違反について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所堺支部が解説します。
◇事件◇
大阪府警は、チケット転売対策として今年6月に施行されたばかりの「チケット不正転売禁止法(特定興行入場券の不正転売の禁止等による興行入場券の適正な流通の確保に関する法律)」に違反した女性を全国で初めて摘発し、検察庁に書類送検しました。
~事件内容~
書類送検された女性は、今年6月から9月に行われた人気アイドルグループのコンサートチケットを、定価の8倍から14倍にあたる金額で、全国の3人に不正に転売し42万円を得ていたようです。
このチケットは、入場可能な人の名前があらかじめ記載されている電子チケットで、入場時に写真付きの身分証で本人確認が行われ、その際に初めて会場の座席が指定されるシステムになっています。
書類送検された女性は、偽造した転売相手の身分証(実在する会社の社員証)を用意し、転売相手はその偽造身分証を利用して会場に入場していたようです。
(令和元年10月25日の「NHK関西NEWSWEB」を参考)
◇チケット不正転売禁止法◇
チケット不正転売禁止法とは「特定興行入場券の不正転売の禁止等による興行入場券の適正な流通の確保に関する法律」の略称で、この法律は、今年の6月に施行されたばかりの新しい法律です。
この法律は、これまで各都道府県の迷惑防止条例でしか取り締まることのできなかった、不正なチケット転売を取り締まるための法律です。
~禁止行為~
この法律で禁止されているのは
・特定興行入場券(チケット)の不正転売すること
・特定興行入場券(チケット)の不正転売を目的として、特定興行入場券(チケット)を譲り受けること
です。
~特定興行入場券~
販売されている全てのコンサートや、舞台、スポーツイベントのチケットがチケット不正転売禁止法の対象となるわけではありません。
チケット不正転売禁止法の対象となるのは、特定興行入場券といわれるもので、この特定興行入場券とは
①販売の際に、興行主の同意のない有償譲渡を禁止される旨を明示し、その旨がチケットに記載されていること
②興行の日時、場所、座席(または入場資格者)が指定されていること
③例えば、在籍が指定されている場合、購入者の使命と連絡先を確認する措置が講じられており、その旨がチケットに明記されていること
の全てに該当する、不特定または多数の者に販売される芸術、芸能やスポーツイベント等のチケットです。
~特定興行入場券(チケット)の不正転売~
この法律でいう「不正転売」とは、興行主の事前の同意を得ない特定興行入場券の業として行う有償譲渡であって、興行主等の当該特定興行入場券の販売価格を超える価格をその販売価格とするものです。
「業として」とは、利益を得ることを目的として、反復継続して行う転売だという解釈でしょう。
例えば、一つのコンサートや、スポーツ観戦のチケットを複数枚正規購入して、そのチケットを購入後すぐに、定価以上の値段で転売する場合などは「業として不正転売している」と認定される可能性が高いでしょう。
~罰則~
これらの違反行為の有罪が確定すれば、違反者は「1年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金又は併科」が科せられます。
◇その他◇
今回は「チケット不正転売禁止法」を中心に解説いたしましたが、書類送検された女性は、電子チケットを購入する際に、当然、転売する目的を秘して偽名等を使用してチケットを購入しているでしょうから、そういった行為が詐欺罪等の別の犯罪に抵触する可能性があるので注意しなければなりません。