スナックの無許可営業
- 2019年10月28日
- コラム
スナックの無許可営業について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所堺支部が解説します。
◇事件◇
Aさんは、南海電車の堺東駅周辺で居酒屋等の飲食店を何軒か経営しています。
数年前から、ガールズバーが流行っていることに目を付けたAさんは、立ち飲み屋として営業している店舗をガールズバーに改装して営業を開始したのですが、思うように売り上げが伸びませんでした。
そこでAさんは、他のガールズバーでしていないようなサービスを客に提供するようになり、1年前からは店内を更に改装し、照明器具を取り付けたり、ボックス席を設ける等し、もはやスナックのような形態で営業をするようになりました。
Aさんは、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律で義務付けられている、スナック営業の届け出をしなければならないことは知っていましたが、指導を受けてからすれば大事にはならないだろうと軽く考えていました。
しかし先日、お店の客同士が店内で喧嘩し、警察官がお店に臨場する騒ぎが起こってしまいました。
そこで無許可営業であることが警察に発覚してしまい、Aさんは、大阪府堺警察署に呼び出されて取調べを受けています。
(フィクションです。
◇風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(風営法)◇
風営法とは、正式には「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」という名称の法律で、通称として「風営法」や「風適法」と呼ばれています。
風営法上で規制されている業態としては、
①第1号営業:キャバクラやホストクラブ等顧客を接待する飲食店
②第2号営業:照度10ルクス以下の飲食店
③第3号営業:客席の広さが5㎡の飲食店
等が挙げられます。
また、パチンコ店やゲームセンター等が風営法上の規制の対象となっており、その他性風俗店やダンスクラブも規制の対象となっています。
ただし、スナックの場合には線引きが難しい場合があり、接待を含まない場合には風俗営業とは認められないことがありますが、実際は大半の場合風俗営業とみなされます。
◇許可が必要なスナック営業~接待~◇
風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律では、「歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなすこと」を風俗営業の「接待」とし、許可を得ずに接待することは、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律違反に当たるとしています。
「接待」とは、警察庁の「解釈運用基準」で定められており、法律によって明確化されているものではありません。
この運用基準では
①談笑やお酌をする
②ショーを見せる
③カラオケでデュエットしたり、客の歌に手拍子をとり拍手する
④ダンスをさせる
などが接待に当たるとしていますが、客のタバコに火をつけたり、おしぼりを手渡すことも接待行為に該当すると判断されて、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律の適用を受けることがあるので注意しなければなりません。
◇無許可営業の刑事罰◇
接待を含むスナックを無許可で営業していた場合、風営法に違反する行為となります。
逮捕後に起訴され有罪判決を受けると、「2年以下の懲役若しくは200万円以下の罰金又は懲役と罰金の併科」が科せられることになります。
また、その他行政上の処分が下され、一定期間店の営業ができなくなる場合があります。
◇無許可営業の弁護活動◇
刑事事件の弁護活動としては、被害者との示談交渉がありますが、風営法の無許可営業は被害者がいないため示談することはできません。
ですので主な弁護活動としては
①弁護士を通じて反省していることを捜査機関に示す(刑事罰の軽減を求める)
②事実関係を正直に話し、早期の身柄解放を求めること(早期身柄解放)
等があります。
詳しい弁護活動に関しては一度弁護士に相談することをお勧めします。