痴漢事件の刑事弁護活動を解説
- 2019年11月6日
- コラム
痴漢事件の刑事弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所堺支部が解説します。
◇事件◇
河内長野市に住む会社員のAさんは、通勤で利用している南海電車の車内で、20代のOLに対して痴漢した容疑で、大阪府河内長野警察署に逮捕されました。
逮捕の知らせを聞いたAさんの家族は、刑事事件に関わったことがないため、今後どのように対処すればよいのか全く分かりません。
また弁護士に依頼した場合、弁護士がどのような弁護活動をするのかにも不安があります。
(フィクションです。)
Aさんの家族ように、これまでの人生で刑事事件に関わった経験のない方の方が大半で、そのような方々は、弁護士がどのような弁護活動をしているのか等、分からないことが多く、弁護士に依頼することを躊躇してしまうのではないでしょうか。
そこで本日は、堺市で発生した刑事事件を中心に、泉州地区全域の刑事弁護活動を専門に活動する、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所堺支部が、痴漢事件の刑事弁護活動を解説します。
◇痴漢事件◇
痴漢行為は、大阪府公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例違反となります。
電車のような公共の乗物や、公共の場所において、他人の身体に触れると痴漢となります。
痴漢行為の罰則規定は「6月以下の懲役又は50万円以下の罰金」と非常に軽微なものですが、最近は、痴漢事件であっても逮捕される方が増加傾向にあるのも事実です。
特に犯行を否認したり、逃走しようとしたりした場合は、罪証隠滅(証拠隠滅)や逃走のおそれがあると認められるので、逮捕されるリスクが非常に高くなります。
インターネットなどで「痴漢を疑われたら、後から無実を証明するのは非常に難しいので、すぐに逃走した方がいい。」といった内容の記事を目にすることがありますが、逃走することによって警察に逮捕されるリスクが非常に高まるのであまりお勧めすることはできません。
もし警察に逮捕された場合、新聞やニュース、インターネットなどで事件が報じられる可能性があり、そうなってしまえば世間に事件を知れてしまうので、刑事罰以外の不利益を被ってしまいます。
◇痴漢事件の刑事弁護活動◇
痴漢事件の刑事弁護活動は、主に
①早期釈放に向けた活動
②処分軽減に向けた活動
③無罪・無実に向けた活動
となります。
①早期釈放に向けた活動
早期釈放に向けた活動は、警察に逮捕、拘束されている方の釈放を求める活動です。
警察に逮捕されてから勾留が決定するまでの間ですと、警察や検察に対して「勾留請求に対する意見書」を提出し、裁判官に勾留を請求しないように求めることとなります。
もし警察や検察にこのような申立てが受け入れてもらえず、裁判官に勾留を請求された場合は、裁判官に対して勾留を決定しないように求めることもできます。
また裁判官が勾留を決定してしまった場合、勾留決定に対する異議の申し立て(準抗告)や、勾留期間中に、状況に変化が生じた場合には、裁判所に対して、勾留の取り消しを請求することもできるのです。
また身体拘束を受けたまま起訴された場合には、裁判官に対して保釈を請求することができ、保釈が認められると、保釈金を納付すれば保釈によって身体拘束が解かれます。
②処分軽減に向けた活動
痴漢容疑の処分軽減に向けた活動は、被害者との示談締結に向けた活動となります。
弁護士が、事件を起こした方に代わって、被害者に謝罪すると共に、示談交渉を行います。
示談金(被害弁償)の交渉や、示談内容の交渉等を行い、被害者、加害者共に納得できる内容での示談締結を目指します。
そして示談の成立は、その後の刑事処分に大きく影響します。
痴漢事件の場合ですと、検察官が事件を起訴するまでに示談を締結できれば、不起訴処分となる可能性が非常に高くなります。
③無罪・無実に向けた活動
逮捕されたからといって、逮捕された人の有罪が確定しているわけではありません。
逮捕というのは、刑事手続き上の一つの過程に過ぎず、もし全く身に覚えのない容疑で逮捕されてしまった場合、弁護士は、逮捕された方の無実を証明することとなります。
また、実際に犯行に及んでいた場合でも、その後の刑事手続きに不備があった場合は、その後の刑事裁判で無罪判決が言い渡される可能性があります。
弁護士は、逮捕からの刑事手続きに問題がないかを検証することもできます。