卑わいな言動で逮捕
- 2019年11月9日
- コラム
卑わいな言動で逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所堺支部が解説します。
◇事件◇
通勤で電車を利用している大阪府岸和田市の職員Aさんは通勤途中の電車内で、好みの女性が近くにいたので、「興奮する、やりたい」などと言って卑わいな言葉をかけていました。
女性の友人が駅員に連絡したことによりAさんは降車駅で駅員室に連れて行かれ、駆け付けた大阪府岸和田警察署の警察官に逮捕されました。
逮捕されたという連絡を受けたAさんの両親はすぐに刑事事件に強い弁護士に初回接見を依頼しました。
(フィクションです。)
◇迷惑防止条例違反(卑わいな言動)◇
痴漢や盗撮の際に適用される各都道府県の迷惑防止条例では、卑わいな言動に対しても罰則が規定されており、公共の場所や乗物において卑わいな言動をすることを禁止されています。
罰則は都道府県によって違いますが、大阪府の迷惑防止条例では「6月以下の懲役又は50万円以下の罰金」が規定されています。
大阪府公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例
第6条第4項
「前3号に掲げるもののほか、人に対し、公共の場所又は公共の乗物において、人を著しく 羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような卑わいな言動をすること。」
※前3号には盗撮や痴漢にあたる行為について個別に規定されています。
今までに、この卑わいな言動によって迷惑防止条例違反になった例として、
・女性に対して執拗に卑わいな言葉をかけ続ける
・下着は写っていないが許可を取らずに女性を盗撮する
・男性器を模した玩具を見せつける
等があります。
さらに公共の場所では目撃者が多数いることが多いので、すぐに通報されたり、現行犯逮捕されたりしてしまう可能性が高まります。
たとえ女性の体に触れていないような場合であっても条例違反となり、逮捕されてしまう可能性があるのです。
なお、言動という言葉で勘違いしてしまいがちですが、これは言葉のみを指すのではなく、行動も含まれています。
◇弁護活動について◇
卑わいな言動など条例違反で現行犯逮捕されてしまった場合、逮捕はされたが検察官に送致されることなく翌日には釈放されるというケースがあります。
釈放されていることからもう事件は終了したと勘違いしてしまいがちですが、これは身体拘束を伴わない在宅事件に切り替わったというだけでまだ処分は下されておらず、これからも捜査は継続されることになります。
しかも、身体拘束を受けているときとは違い、事件の進みは遅くなりがちです。
在宅事件は時効までは起訴することができるので、捜査機関から1ヶ月以上連絡がないということもあります。
検察官に送致されることなく釈放された場合、起訴されて正式裁判にならなければ、国選弁護人は付きません。
また「99,9%が有罪」という言葉を聞いたことがあるかもしれませんが、これは起訴された場合ということになります。
起訴された場合は無罪判決とならない限り、前科が付いてしまうことになりますが、不起訴となれば前科とはなりません。
不起訴を目指していくためには、検察官が起訴の判断を下す前に示談を締結するなどしなくてはなりません。
起訴後に示談を締結した場合、量刑には影響があると考えられますが、示談をしたということによって無罪となることはありません。
弁護士を入れなければ被害者も加害者に情報を知られることを恐れて名前すら分からず、示談交渉なんてとてもできないという状況も考えられるので、できるだけ弁護士に依頼するようにしましょう。