【児童ポルノ処罰法違反事件】数年前に購入した児童ポルノを不法所持
- 2020年1月14日
- コラム
数年前に購入した児童ポルノを方法所持していた児童ポルノ処罰法違反事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所堺支部が解説します。
◇児童ポルノの不法所持事件◇
Aさんは、数年前にインターネットで見つけたサイトで児童ポルノのDVD10数枚を購入しました。
そのDVDは、小学生~中学生くらいの女児の性交を撮影したもので、児童ポルノの所持が法律で禁止されていることを知っていたAさんは、購入後すぐにDVDの映像データをパソコンに保存して、DVDを廃棄処分しました。
その後Aさんは、この映像データを、第三者に提供する目的はなく、自己の性欲を満たすのみの目的で、自宅のパソコンに保存していたのです。
そして先日、河内長野市の自宅でくつろいでいたところ、大阪府警の捜査員数名が自宅を訪ねてきました。この捜査員に捜索差押許可状を示されて、自宅を捜索されたAさんは、パソコンに保存していた、DVDの映像データが見つかってしまい、パソコンごと警察に押収されてしまいました。
その後、大阪府河内長野警察署に連行され、夕方まで、児童ポルノの所持罪で取調べを受けたAさんは、今後の刑事処分が不安で、刑事事件専門の弁護士に相談
(フィクションです。)
◇児童ポルノの不法所持◇
児童ポルノ処罰法で、児童ポルノの所持が禁止されています。
児童ポルノ処罰法の正式名称は「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」です。
この法律は、児童に対する性的搾取及び性的虐待が児童の権利を著しく侵害することをの重大性に鑑み、あわせて児童の権利の擁護に関する国際的動向を踏まえ、児童買春、児童ポルノに係る行為等を規制し、及びこれらの行為等を処罰するとともに、これらの行為等により心身に有害な影響を受けた児童の保護のための措置等を定めることにより、児童の権利を擁護することを目的にしています。
~児童ポルノ係る禁止行為~
①性的好奇心を満たす目的で児童ポルノを所持したり、児童ポルノに係る電磁的記録を保持する行為。
②児童ポルノを提供する行為。
③児童ポルノを提供する目的で製造・所持、運搬、日本に輸入、日本から輸出する行為。
④児童ポルノを単純に製造する行為。
⑤盗撮により児童ポルノを製造する行為。
⑥不特定若しくは多数の者に児童ポルノを提供、公然陳列する行為。
⑦上記⑥の目的で、児童ポルノを製造・所持、運搬、日本に輸入、日本から輸出する行為。
⑧上記⑥の目的で、児童ポルノを輸出入する行為。
~禁止行為に対する罰則規定~
①1年以下の懲役又は100万円以下の罰金
②~⑤3年以下の懲役又は300万円以下の罰金
⑥~⑧5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金又は併科
◇児童ポルノとは?◇
この法律でいう「児童」とは18歳に満たない者です。
そして児童ポルノとは、写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物であって
①児童を相手方とする又は児童による性向又は性交類似行為に係る児童の姿勢
②他人が児童の性器等を触る行為又は児童が他人の性器を触る行為に係る児童の姿勢であって性欲を興奮させ又は刺激するもの
③衣服の全部または一部を着けない児童の姿勢であって、殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの
を視覚により認識できる方法により描写したものを言います。
ちなみに絵画や合成画像(CG)が児童ポルノに該当するかの判断ですが、児童ポルノを定義する上で「実在する児童」であることが前提となります。
そのため、絵画や、合成画像については、実在する児童をモデルにして描写された絵画や、実在する児童を基にして作成された合成画像については児童ポルノに該当する可能性があるので注意しなければなりません。