堺市の自転車窃盗事件 微罪処分について解説
- 2020年1月21日
- コラム
堺市で発生した自転車の窃盗事件における微罪処分について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所堺支部が解説します。
◇自転車の窃盗事件◇
堺市の会社に勤めるAさんは、自宅から会社まで自転車で通勤しています。
2ヶ月ほど前に、会社の駐輪場に止めていた自転車を盗まれたAさんは、交番に盗難の被害届を提出しているのですが、それからは歩いて通勤しています。
そんな中、偶然通りかかったアパートの駐輪場に、カギをせずに駐輪してあったAさんは、自分の自転車が見つかるまでこの自転車を使ってやろうと思い、自転車を盗んでしまいました。
それからしばらくして、盗んだ自転車に乗って会社から帰宅途中に、警察官の職務質問を受けたAさんんは、自転車の窃盗が発覚してしまい、近くの交番に連行されて取調べを受けました。
今後の処分が不安なAさんは、刑事事件専門の弁護士に相談することにしました。
(フィクションです。)
自転車盗は、みなさんが一番身近に感じる刑事事件の一つですが、自転車盗の刑事処分を弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所堺支部に強い弁護士が解説します。
◇自転車窃盗事件◇
普段自転車を利用している方であれば、一度は、警察官に職務質問を受けた時に自転車の車台番号や、防犯登録番号を調べられた事があるのではないでしょうか。
警察官は、車台番号や、防犯登録番号を照会して、盗難(被害)届が出ていないかや、自転車の所有者を調べているのです。
そして、盗難(被害)届が出ていたり、他人名義の自転車に乗っていたりしたら自転車盗の容疑をかけられて取調べを受けることとなります。
盗難(被害)届が出ている自転車や、他人名義の自転車に乗っていた場合に、疑われる可能性の高い罪名と、その罰則は以下のとおりです。
①窃盗罪…刑法第235条(10年以下の懲役又は50万円以下の罰金)
自転車の所有者が止めた自転車を直接盗んだ場合は、窃盗罪が適用されます。
②占有離脱物横領罪…刑法第254条(1年以下の懲役又は10万円以下の罰金若しくは科料)
何者かが盗んだりして放置された自転車を盗んだ場合は、占有離脱物横領罪が適用されます。
③盗品等無償(有償)譲受…刑法第256条(無償「3年以下の懲役」有償「10年以下の懲役及び50万円以下の罰金」)
他人が盗む等した自転車を、譲り受けた場合は、盗品等無償(有償)譲受罪が適用される可能性があります。
自転車の窃盗事件は、他の犯罪に比べて非常に発生件数の多い刑事事件であり、警察が検挙する件数も非常に多い犯罪ですが、「他人の自転車を盗む」という同じ行為であっても、適用される法律が異なるので注意しなければなりません。
◇微罪処分◇
自転車の窃盗事件等については、被害額が少額で、被害者が処罰意思を有しておらず、比較的犯情が軽微なことから、初犯であれば、通常の刑事手続きをふむことなく微罪処分の手付きとなる場合があります。
微罪処分の手続きは、通常の刑事手続きとは全く異なり、非常に捜査が簡略化されているために捜査書類もほとんど作成されず、必要な手続きさえ終了すれば、後日、警察署や検察庁に呼び出されることもなく、前科にもなりません。
しかし、警察署において被疑者指紋を採取され、警察庁のデータベースに登録される事となり犯罪歴としては残ってしまうので注意しなければなりません。