教師に対する傷害事件 14歳でも逮捕される
- 2019年12月16日
- コラム
教師に対する傷害事件を起こした14歳の少年が逮捕されるかについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所堺支部が解説します。
◇教師に対する傷害事件◇
藤井寺市の公立中学校に通うA君(14歳)は、喫煙や夜遊び等の不良行為でこれまで何度も警察に補導されていますが、これまで大きな問題にはならず、両親が学校や警察署に呼び出されて注意を受ける程度でした。
しかし先日、担任教師に遅刻を注意されたことに腹を立てたA君は、担任教師に椅子を投げつけて、頭部を裂傷する傷害を負わせてしまいました。
A君の両親は学校に呼び出されて、校長先生から「今回の事件は学校内で処理することはできない。担任教師も警察に被害届を出すと言っている。」と言われてしまいました。
そしてその3日後、A君は大阪府羽曳野警察署に逮捕されてしまいました。
(フィクションです。)
◇14歳以上は逮捕される◇
14歳未満は、刑事手続きの対象とはならないため、犯罪を犯しても警察に逮捕されることはありませんが、14歳になる誕生日以降に起こした事件については、刑事手続きの対象となり、要件を満たせば逮捕される可能性があります。
(※注意 基準となるのは犯行時の年齢です。13歳の時に起こした事件が、14歳になって発覚した場合は刑事手続きの対象となりません。)
ただ14歳の少年を逮捕して、刑事施設(留置場)に収容することは、まだ未成熟の少年にとっては、精神的に大きな負担になるので、早い段階で少年鑑別所に移されるケースがほとんどです。
◇傷害事件◇
傷害罪とは、暴行等により、人の身体を傷害する犯罪です。
刑法第204条に定められている法律で、その法定刑は「15年以下の懲役又は50万円以下の罰金」ですが、A君は少年法による手続きが進み、家庭裁判所から検察庁に逆送されない限りは、この刑罰が科せられることはありません。
◇今後、A君はどうなるの?◇
A君は14歳の少年ですので、原則として、少年法の定める少年保護手続にのっとり、A君に必要な保護処分を行うことを目的として手続きが進行します。
とは言うものの、捜査段階においては刑事訴訟法の適用があるので、細かい相違点はありますが(少年鑑別所を勾留の場所とすることができるなど)、おおむね成人と同様に手続が進行します。
逮捕されたA君は、捜査を担当する警察署に引致され、弁解を録取された後に、取調べを受けることになります。
そして引き続き留置する必要が認められると、逮捕時から48時間以内にA君の身柄が検検察庁へ送致されます。
送致されると、検察官が弁解録取を行い、検察官は身柄を受け取ったときから24時間以内、かつ、逮捕時から72時間以内にAくんの勾留を請求するか、Aくんを釈放するかを決めなければなりません。
勾留されてしまうと、上記期間に加えて更に10日間も身体拘束が続きます。
やむを得ない事由があると認められると、さらに最長10日間勾留が延長されます。
◇弁護士の弁護活動◇
~早期釈放に向けて~
上記の通り、A君が勾留されると、捜査段階で最長23日間もの間身体拘束を受けることになります。
今回の事件を検討すれば、事件の被害者が担任の教師であることを考えると、被害者との接触が避けられない状況にあるので、A君が身体拘束を受ける可能性は非常に高いでしょう。
そこで、弁護士に依頼し、勾留を阻止する活動、釈放に向けた活動など、早期の身柄解放を実現するために行動することをおすすめします。
~少年審判に向けて~
最終的にA君の処分は、家庭裁判所での少年審判で、A君に保護処分が必要かどうかが検討されます。
保護処分が必要とされた場合は
①少年院送致
②保護観察処分
③児童自立支援施設または児童養護施設送致
の何れかが決定します。
保護処分は刑罰ではなく、A君の改善更正を図るためになされる処分です。
A君がまだ14歳であることを考慮すると、なるべく在宅で改善更正を図る処分を獲得したいところです。
そのためには、A君に真摯な内省を促し、家庭環境などを調整し、A君が在宅でも改善更正しうることを家庭裁判所に納得してもらわなければなりません。
弁護士のアドバイスを受けながら、環境調整を行い、よりA君にとって有利な事件解決を目指していきましょう。
◇少年事件に強い弁護士事務所◇
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所堺支部は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所であり、少年の傷害事件についてもご相談いただけます。
お子様が傷害事件を起こしてしまい、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所堺支部にご相談ください。