商標法違反事件 インターネットでコピー商品を販売
- 2020年1月31日
- コラム
インターネットでコピー商品を販売した商標法違反事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所堺支部が解説します。
商標法違反事件
大阪府堺市に住むAさんはインターネットを通じて、ブランド物のコピー商品を販売していました。
ある時、客の1人と料金のことでトラブルになってしまい、客が、「Aはコピー品を販売している」と大阪府堺警察署に通報してしまいました。
しばらくして商標法違反容疑で、Aさんの家に家宅捜索が入ることになりました。
自宅に保管していたコピー商品やパソコン、銀行の預金通帳、スマートフォンなどを押収され、Aさんは逮捕されることになってしまいました。
このままでは刑務所に入ることになってしまうのではないかと不安になったAさんの両親は、刑事事件に強いと評判の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所堺支部の弁護士に初回接見を依頼することにしました。
(フィクションです)
商標法違反
商標法は、「商標を保護することにより、商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り、もつて産業の発達に寄与し、あわせて需要者の利益を保護することを目的」としている法律です。
商標法上で認められている主な権利として、商標権と使用権があります。
商標権とは事業者が、自己の取り扱う商品、サービスを他人の物と区別するために使用する識別標識を商標法に基づき特定の商標として登録することで得ることができるものです。
商標権があると、その商標権者は独占的にその商標を使用することができるようになります。
そして、使用権とは契約などによって他人の商標を使用する権利のことで、その中でも専用使用権は商標権者も商標を使用できなくなるという特に強力な効力をもたらします。
これらの商標権、専用使用権を侵害した場合、商標法78条に違反することになります。
商標法78条1項
商標権又は専用使用権を侵害したときは、10年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金又はこれを併科する
同条2項
商標権又は専用使用権を侵害する行為とみなされる行為をした場合、5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金又はこれを併科する
今回の事例のAさんについてはインターネットでコピー商品を販売していたということで、商標法違反で警察から捜査されています。
このように近年は、インターネットを通じて簡単に商品を販売できるようになったことで、一般人であっても商標法違反で検挙される事例も見られるようになってきました。
さらに注意しなければいけないことは、コピー品を本物と偽って販売した様な場合には商標法違反だけでなく、詐欺罪となってしまう可能性もある点です。
詐欺罪は「10年以下の懲役」と罰金刑が規定されていないので、起訴されて有罪が確定すると、軽くても執行猶予付きの懲役刑になってしまいます。
弁護活動
商標法違反の弁護活動としては、被害を受けたブランド企業との示談交渉が挙げられます。
しかし、示談の相手方、被害者がブランド企業となるので、示談交渉は非常に難しいものとなります。
個人では相手にされる可能性は非常に低いですし、弁護士を入れたとしても厳しくなることが予想されます。
しかし、弁護士を入れていると、示談ができないような場合の弁護活動として贖罪寄付や示談交渉経過報告書を作成して、検察官に働きかけを行うことができます。
贖罪寄付とは示談が難しい場合や、被害者がいない事件のような場合に、関係機関などに寄付をすることで、有利な情状の一つとする活動のことです。
検察官の起訴不起訴の判断や裁判となった時の判決に影響することがあります。
このほかにも供託を行うなど、様々な弁護活動がございますので、商標法違反では弁護士を入れるようにしましょう。
商標法違反は、初犯ならば不起訴や罰金となることもありますが、販売した個数や金額など様々な要素が関わり、初犯であっても実刑ということもありえるので、一度弁護士の見解を聞くことをお勧めします。