恐喝罪の共犯で逮捕
- 2020年3月7日
- コラム
恐喝罪の共犯として逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所堺支部が解説します。
◇恐喝罪の共犯で逮捕された事件◇
Aさんは、デリバリーヘルス店でドライバーをしています。
Aさんの業務は、デリヘル嬢をホテルなどにいるお客さんのもとまで、車で送り迎えすることで、サービス中に、何かトラブルが発生した場合は、近くで待機しているAさんがまず最初に対処することになっていますが、お客さんがデリヘル嬢に本番行為に及んだ場合など、大きなトラブルが発生した際は、すぐに店長に連絡し、店長が客の所にやって来て示談交渉するということになっています。
先日も、堺市堺区のホテルまで送り届けた風俗嬢が、客から無理矢理に性交渉されたと、車で待機していたAさんに訴えてきたので、Aさんは、客にホテルの客室で待つように指示し、店長を呼び出しました。
そして店長が客と交渉をしたのですが、この時Aさんは、ホテルの駐車場に泊めた車の中で待機していました。
この数日後、店長は、客に対する恐喝容疑で大阪府堺警察署に逮捕されてしまい、Aさん自身も共犯として逮捕されてしまったのです。
(フィクションです。)
◇恐喝罪とは◇
刑法第249条
1 人を恐喝して財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
「恐喝」とは、暴行したり、生命・身体・財産などに害を加える旨を告知するなどして脅して恐怖させ、被害者に財物を交付させることです。
今回の事件を例にすると、客と交渉している店長が、「示談金を払わなかったら、バックの暴力団が黙っていないぞ」とか「会社にばらすぞ」などと言って、客を脅して金銭を交付させていたら、恐喝罪に当たります。
◇共犯とは◇
刑法第60条
二人以上共同して犯罪を実行した者は、すべて正犯とする。
今回の事件でAさんは、店長の共犯として逮捕されています。
共犯とは、共同して犯罪を行うことで、別の共犯者の行為や、その行為によって発生した結果についても共犯者全員が責任を負うことになります。
「共同して行う」とは、共同して犯罪行為を行った場合ばかりではありません。
自分は共謀のみをして、 犯罪行為は他の共犯者が全部を実行した場合でも、共謀共同正犯として犯罪の全部の責任を負う場合があります。
今回の事件でAさんは、客を脅したり、店長と客が話している客室に同席していませんが、恐喝の共謀共同正犯であると疑われて逮捕されています。
~共謀共同正犯~
二人以上の者が、特定の犯罪を行うため、共同意思の下に一体となって互に他人の行為を利用し、各自の意思を実行に移すことを内容とする謀議をなし、よって犯罪が実行された場合、共謀共同正犯として処罰されます。
簡単にまとめると
(1)特定の犯罪を行うことについて相互に意思の連絡があること
(2)その犯罪を自己の犯罪として行う意思があること
ということになります。
例えば、店長が店でAさんに対して「この前の客はごねたからちょっと脅してやった」「面倒なことを言う客はビビらせると話が早い」などと話していたという事情があったとすると、Aさんは、店長が客と示談交渉をする際に恐喝しているということを承知していて、店長も、Aさんがそれを承知の上で自分を示談交渉に呼び出していると認識していた、と考えられるので、恐喝行為について相互に意思の連絡があったと認められる一つの材料になるでしょう。
また、例えば、Aさんが恐喝で得た金銭の分け前を店長から貰っていたなどの事情があれば、Aさんは分け前を得る目的、即ち自己のために恐喝を行う意思があったと認められる一つの材料になるでしょう。
◇弁護活動◇
恐喝罪は被害者がいる犯罪になるので、被害者と示談することが重要です。脅し取った分の財産の弁償に加えて、迷惑料なども含めた示談金を支払うことになります。
また、恐喝の場合、被害者の身元や住所などが明らかになっていることが多いので、被害者に接触して証言を変えさせて罪証隠滅を図る危険があるとして逮捕・勾留がなされ、共犯事件であれば、共犯者との口裏合わせを防ぐため、勾留中の面会の制限が付けられる可能性があります。このような身柄拘束から一刻も早く釈放されるためにも、被害者と示談することが極めて有効です。
◇恐喝事件に強い弁護士◇
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所堺支部では24時間、初回接見及び無料相談のご依頼を受け付けております。逮捕されてしまった家族との連絡でお困りの方も、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所堺支部にご相談ください。