【交通事件】ひき逃げの自首について
- 2020年11月27日
- コラム
ひき逃げ事件を起こし自首をした場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所堺支部が解説します。
◇ひき逃げ事件を警察に自首するか検討◇
Aさんは、自宅で夕飯後に晩酌を楽しんでいましたが、お酒が切れてしまい、近所のコンビニまで買いに行くことにしました。
Aさんは、「ちょっとそこまでだから大丈夫だろう。」と思い、自分の車を運転してコンビニまで行ったのですが、自宅に帰る途中に、交差点を左折する際、左側から歩行者が横断していることに気付くのが遅れてしまい、横断中の歩行者と接触してしまいました。
Aさんは、「接触したぐらいだし、そこまで大したことではないだろう。飲酒運転もバレるとやっかいだし。」と思い、事故を届け出ることなく、そのまま車で自宅に帰ってしまいました。
帰宅したAさんは、時間が経過して酔いが覚めるにつれて「やはり、近所の大阪府黒山警察署に通報したほうがよかったか・・・」と、不安が大きくなってきました。
(フィクションです)
◇ひき逃げ◇
ひき逃げは、人身事故を起こしておきながら、被害者の救護や警察への通報を行わずに現場から逃走する行為です。
一旦その場から逃げ出しているため、「犯人は身体拘束しないと、また逃げるだろう。」と思われ、逮捕・勾留される可能性があります。
それでは、一度現場から逃走したものの、「自首」した場合にはどうなるのでしょうか。
まずは、どのような場合に「自首」が成立するのかについて説明します。
◇自首が成立する要件◇
単に警察署に自分から出向いたというだけでは、自首は成立しません。
法律上の自首が成立するためには、満たさなければならない幾つかの要件があります。
自首は、刑法第42条に次のように規定されています。
第四十二条 罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を減軽することができる。
2 告訴がなければ公訴を提起することができない罪について、告訴をすることができる者に対して自己の犯罪事実を告げ、その措置にゆだねたときも、前項と同様とする。
「自首」とは、犯人が捜査機関に対し、自発的に自己の犯罪事実を申告し、訴追を求めることをいいます。
つまり、自首の要件とは
①捜査機関への発覚前に
②自発的に
③自己の犯罪事実を申告し
④訴追を求める
ことです。
①捜査機関への発覚前
捜査機関とは、検察官または司法警察職員のことです。
「発覚前」は、捜査機関に犯罪事実が発覚していない場合、および、犯罪事実は発覚していても、その犯人が誰であるか発覚していない場合も含みます。
犯罪事実および犯人が誰であるか判明しているものの、犯人がどこにいるかについてのみ不明である場合は、「発覚前」とは言えません。
②自発性
捜査機関の取調べに対する自白は、自発的とは言えず、自首に当たりません。
既に逮捕・勾留中の被疑者が、余罪について自供した場合、捜査機関から余罪について聞かれて答えた場合には自首は成立しませんが、捜査機関が知らなかった余罪を自白した場合は、自首の成立が認められることがあります。
また、職務質問を受けている場合も、単に挙動不審者として職務質問を受けている際に自己の犯罪事実を申告したのであれば自首が成立しますが、犯行道具と思わしき物を持っており、犯罪を疑った警察官が職務質問をした際に犯罪を自供したのであれば自首は成立しません。
③自己の犯罪事実の申告
他人の犯罪事実を申告したが、自分も訴追されることになった場合、自己の犯罪を申告したとは言えません。
④自己の訴追を求める
自己の犯罪事実を申告する際には、自己の訴追を含む処分を求める趣旨が明示的・黙示的に含まれていなければなりません。
犯罪事実の一部を隠すために申告したり、自己の責任を否定するような申告内容である場合には、自首は成立しません。
◇自首のメリット◇
自首が成立した場合、どのような効果があるのでしょうか。
●任意的減軽
刑法第42条にもあるように、「その刑を減軽することができる」のであり、任意で刑が減軽される可能性があります。
ですので、必ずしも刑が減軽されるわけではありませんが、犯行態様、社会的影響、前科のほか、犯行から自首までの経過年数、反省・悔悟の情の有無などを考慮して決められます。
●逮捕の回避
自首をすることで、「逃亡のおそれ」がないと判断され、捜査機関からの逮捕を免れるという可能性も生じます。
殺人などといった重大事件では、自首をしても逮捕を回避することは難しいケースがありますが、「逃亡のおそれ」や「犯罪の証拠を隠滅するおそれ」といった逮捕の必要性がない場合には、逮捕の要件を満たさず、逮捕を回避することができます。
その他に、自ら出頭し、自己の訴追を求めている点で、犯人が反省していると評価され、被害者との示談交渉が円滑に進んだり、検察官が公判請求ではなく略式起訴とする可能性を高めることができるといったメリットもあります。
◇自首に強い弁護士◇
刑事事件を起こし、自首を検討されているのであれば、刑事事件に精通する弁護士に自首成立の有無、自首後の手続などをご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所堺支部は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。
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