物を落としたら...③
- 2021年3月26日
- コラム
物を落としたら...③
物を落としてしまった場合について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所堺支部が解説します。
~事例~
大阪府堺市のマンションに住む主婦のA子は、ベランダでガーデニングをしていました。
すると、ガーデニング作業の途中で誤って植木鉢を下に落としてしまいました。
植木鉢はたまたま歩いていたVに直撃してしまい、Vは首の骨を折る重傷を負ってしまいました。
A子は、重過失傷害の疑いで大阪府堺警察署から呼び出しを受けることになりました。
(この事例はフィクションです。)
「物を落としたら...」シリーズの第3弾です。
第1弾と第2弾では、故意に物を落とす行為について解説していきましたが、今回は「物を落としてしまった」という場合に注目してみていきましょう。
~物を落としてしまったら過失傷害罪~
過失によって人を傷害してしまうと、過失傷害罪となります。
過失傷害罪
第209条
1項「過失により人を傷害した者は、30万円以下の罰金又は科料に処する。」
2項「前項の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。」
業務上過失致死傷罪(前段)、重過失致死傷罪(後段)
第211条
「業務上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、5年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金に処する。重大な過失により人を死傷させた者も、同様とする」
なお、被害者が死亡してしまった場合は過失致死罪(刑法第210条:50万円以下の罰金)、重過失致死罪(刑法第211条)となる可能性があります。
さて、今回のA子は重過失傷害罪で呼び出しを受けていますが、ここで問題となるのは、過失があったのか、あったとすればその程度が条文上の「重大な過失」にあたるのか、ということです。
過失傷害罪と重過失傷害罪
過失傷害罪と重過失傷害罪の違いは、その過失の程度です。
過失とは、注意義務違反のことで、過失の要件については裁判所の決定があります。
「過失の要件は、結果の発生を予見するとことの可能性とその義務及び結果の発生を未然に防止することの可能性とその義務である」(最高裁決定 昭42年5.25)
過失の程度とは、つまり注意義務違反の程度ということになり、そこから過失傷害罪となるか、重過失傷害罪となるか判断されます。
そして、過失の程度については、状況によっても変わってきますので、過失犯として刑事事件になってしまった場合は刑事事件に強い弁護士に相談するようにしましょう。
今回のA子にしても、ベランダでガーデニングをしていたときの状況や植木鉢の置き方など状況によっては過失がなかったと判断される可能性もあります。
今回のA子は、重過失傷害罪で警察から呼び出しを受けています。
こういった場合は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の無料法律相談を受けるようにしましょう。
無料法律相談では、事件の見通しや取り調べのアドバイスを行っていくことができます。
過失の程度は、供述によって変わることもありますので、取調べを受ける前の相談が重要です。
また、最終的な処分に向けて被害者と示談交渉を行っていくことも大切ですので、過失傷害罪、重過失傷害罪で刑事事件となってしまったという場合には、刑事事件に強い弁護士に弁護活動を依頼するようにしましょう。
全3回のシリーズでお送りした「物を落としたら...」シリーズですが、高い所から故意にせよ過失にせよ物を落としてしまうと、刑事事件となってしまう可能性があることは分かっていただけたかと思います。
もしも、刑事事件となってしまいお困りの場合は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご連絡ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所堺支部では、刑事事件に強い弁護士が無料法律相談、初回接見を行っています。
無料法律相談、初回接見のご予約はフリーダイヤル0120-631-881にて24時間受け付けておりますので、お気軽にお電話ください。