外国人による窃盗事件 強制退去の可能性も
- 2021年6月1日
- コラム
窃盗事件を起こして逮捕された外国人の強制退去について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所堺支部が解説します。
外国人による窃盗事件
5年ほど前に府内の日本語学校に語学留学した中国人のAさんは、日本語学校を卒業後、堺市内の自動車販売店に就職し、現在は、会社の寮で暮らしています。
給料のほとんどを中国にいる家族に仕送りしているAさんは、毎月、ギリギリの生活をしていますが、先月の給料日前は手元に数百円の現金しかなく、食費にも困っていました。
そんな中Aさんは、仕事終わりに立ち寄ったコンビニで弁当と缶ビールを万引きにして店員に捕まってしまったのです。
実はこれまでも何度か同じコンビニで万引きをしていたAさんは、店員に目をつけられていたようです。
店員に捕まったAさんは、通報で駆け付けた大阪府堺警察署の警察官によって警察署に連行され、取調べを受けた後に留置場に収容されました。
Aさんの働いている会社の上司は、外国人による窃盗事件を扱った経験のある刑事事件に強い弁護士を探しています。
(フィクションです)
万引き(窃盗罪)
皆さんご存知のとおり、万引きは窃盗罪です。
窃盗罪の法定刑は、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金です。
万引き事件は偶発的な犯行であることが多く、被害額もそれほど高くないことから、窃盗罪の中でも比較的軽くみられています。
そのため初犯であれば逮捕される可能性は低く、不拘束による取調べが行われた後に検察庁に事件書類が送致される事件がほとんどです。
検察庁に書類送致された後に、検察官が起訴するかどうかを判断するのですが、被害品を買い取る等して被害弁償している場合、初犯であれば不起訴処分となるのが大半です。
初犯であっても複数の余罪があったり、計画的で、悪質な犯行だと認定されてしまうと、起訴されてしまう可能性があるので、刑事処分に不安のある方は刑事事件専門の弁護士に相談することをお勧めします。
外国人による刑事事件
外国人の方が、日本国内で犯罪を犯し警察に逮捕された場合、日本人と同じように刑事手続きが進められる事になります。
窃盗事件を起こして警察に逮捕された場合、逮捕から48時間までは警察の留置場に拘束される事となり、その間に勾留を請求するか否かが判断されます。
勾留が請求されない場合は、逮捕から48時間以内に釈放され、その後は不拘束状態での捜査が継続されますが、勾留が請求された場合は、検察庁に送致されて、そこで検察官の取調べを受けた後に、裁判所に勾留請求される事となります。
そして裁判官が勾留を認めると、その日から10日~20日間は再び警察の留置場若しくは拘置所に拘束されたまま取調べを受ける事となります。
勾留の最終日に検察官が起訴するか否かを決定し、起訴されなければ釈放となりますが、起訴された場合は、その後の刑事裁判で最終的な処分が決定します。
ただ同じ犯罪でも、日本人の被疑者よりも外国人の方が、逮捕されるリスクや、その後の身体拘束を受けるリスクは高くなるでしょう。
また取調べを受ける中でも様々なリスクが生じてしまいます。
その代表的なのが言葉の壁です。
日本語が通じなければ、通訳を介して取調べが行われますが、自身の主張が書類になっているかに不安を感じてしまう外国人の方は少なくありません。
また生活習慣の違いも大きな壁となるでしょう。
もし逮捕、勾留された場合は、警察署の留置場に収容されることになります。
留置場での生活は、宗教上の理由等が、ある程度考慮されると言われていますが、日本との生活習慣の違いが精神的なストレスになることは間違いありません。
強制退去になることも
日本で刑事事件を起こしてしまった外国人の方が一番心配されているのが強制退去についてです。
実際に、日本で生活する外国人が刑事事件を起こした場合、処分が決定し、その刑を終えた時点で日本から強制退去される可能性があります。
入管法によると、有罪判決が強制退去に結び付くのは、1年を超える実刑判決とされていますが、薬物事件や、窃盗罪、詐欺罪等の財産犯事件を起こした外国人の場合、その方の在留資格によっては、執行猶予付の判決であっても判決の確定と共に強制退去になる事があります。
外国人の窃盗事件に強い弁護士
刑事事件を専門にしている弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、これまで多くの外国人の方の刑事弁護活動を行ってまいりました。
刑事事件を起こした外国人の精神的なストレスを少しでも軽減できるように配慮した刑事弁護活動を心がけておりますので、堺市で起こった刑事事件でお困りの外国人の方や、外国人の知人が窃盗罪で警察に逮捕されてしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所堺支部にご相談ください。