(事例紹介)覚醒剤密輸による覚醒剤取締法違反・関税法違反の事例
- 2022年7月13日
- コラム
(事例紹介)覚醒剤密輸による覚醒剤取締法違反・関税法違反の事例
~事例~
マレーシアから密輸した覚醒剤約2キロ(末端価格約1億1660万円相当)を所持していたとして、大阪府警薬物対策課は30日、覚醒剤取締法違反(営利目的共同所持)の疑いで、(中略)容疑者(51)を逮捕、送検したと発表した。
同課は認否を明らかにしていない。
大阪税関堺税関支署は、関税法違反の罪で(中略)容疑者を大阪地検に告発した。
逮捕、送検容疑は何者かと共謀し6月10日、マレーシアから関西国際空港に、犬用のエサ保管容器に隠して密輸した覚醒剤約2キロを所持したとしている。
同課などによると、覚醒剤は国際宅配貨物として輸入されたが、税関の検査で発覚。
ホテルを転々としていた(中略)容疑者は通関業者に連絡し、荷物を受け取りに訪れたところを取り押さえられたという。
(※2022年6月30日Iza配信記事より引用)
~覚醒剤密輸と覚醒剤取締法・関税法~
覚醒剤が違法薬物であることは広く知られていることでしょう。
覚醒剤は、所持しているだけでも犯罪となります。
当然、その覚醒剤を密輸(輸入)することも覚醒剤取締法に違反する犯罪です。
覚醒剤取締法第41条
第1項 覚醒剤を、みだりに、本邦若しくは外国に輸入し、本邦若しくは外国から輸出し、又は製造した者(第41条の5第1項第2号に該当する者を除く。)は、1年以上の有期懲役に処する。
第2項 営利の目的で前項の罪を犯した者は、無期若しくは3年以上の懲役に処し、又は情状により無期若しくは3年以上の懲役及び1,000万円以下の罰金に処する。
第3項 前二項の未遂罪は、罰する。
覚醒剤取締法第41条の2
第1項 覚醒剤を、みだりに、所持し、譲り渡し、又は譲り受けた者(第42条第5号に該当する者を除く。)は、10年以下の懲役に処する。
第2項 営利の目的で前項の罪を犯した者は、1年以上の有期懲役に処し、又は情状により1年以上の有期懲役及び500万円以下の罰金に処する。
第3項 前二項の未遂罪は、罰する。
覚醒剤密輸事件で覚醒剤取締法違反となることには、多くの方が納得するでしょう。
しかし、今回取り上げた事例を確認してみると、逮捕された男性は、大阪税関堺税関支署により関税法違反の罪で告発されているとあります。
覚醒剤の密輸によって、覚醒剤取締法違反以外の罪も成立するのでしょうか。
関税法とは、関税や税関手続について定められた法律です。
関税法では、「輸入してはならない貨物」(いわゆる「輸入禁制品」)が定められており、その中には覚醒剤も含まれています(関税法第69条の11第1項第1号)。
この関税法の輸入禁制品を輸入してしまった場合には、関税法違反という犯罪になるのです。
関税法第109条第1項
第69条の11第1項第1号から第6号まで(輸入してはならない貨物)に掲げる貨物を輸入した者は、10年以下の懲役若しくは3,000万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
今回の報道の事例の男性のように、覚醒剤を密輸するということは、関税法の輸入禁制品を輸入するということとイコールですから、覚醒剤取締法違反だけでなく、関税法違反にもなるということなのです。
こうした関税法違反は、今回の事例のように、空港の税関検査などで発覚するケースも多く、その場合は報道のように税関が検察に告発をするという形で刑事事件となっていく流れが考えられます。
覚醒剤など違法薬物の輸入事件は、定められている刑罰が重くなっていますし、場合によっては裁判員裁判となることも考えられますから、早期に弁護士に相談し、見通しなどを把握しておくことがおすすめです。
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