公務員による未成年者略取誘拐被疑事件で不起訴を獲得
事件概要
Aさんは、離婚協議中の妻が養育している長男と会いたい一心で、通学途中の長男を自身の車に乗せて、車内で会話していたところ、通報を受けて捜索していた警察官に発見され、その場で未成年者略取誘拐罪で現行犯逮捕されました。
事件経過と弁護活動
Aさんのお兄様から弁護活動のご依頼をいただき、早急に弁護士がAさんと面会したところ、Aさんは、養育している妻の承諾なく登校中の長男を連れ去った事実は認めているものの、話が終われば学校に送り届けるつもりであったとのことでした。
Aさんは、急に妻が子供を連れて家を出たために、全く子供たちと全く連絡が取れなくなったことから、不安が募り、今回の犯行に及んだようでした。
弁護士は、実の子供であっても養育者の許可なく連れ回せば、未成年者略取誘拐罪が成立することをAさんに説明し、今後の手続きの流れや、警察の取り調べに対するアドバイスを行いました。
Aさんには、妻との離婚協議を弁護士に一任し、その協議結果に従うことを約束していただきましたが、Aさんは、今回の事件が原因で公務員である職を失うことを懸念されていました。
そのため弁護士は、まずAさんの身体拘束を解く活動を行いましたが、Aさんが被害者等と容易に連絡を取れる状況にあることから、Aさんの早期身体開放は叶いませんでした。
また弁護士は検察官に対して、Aさんの不起訴を求めましたが、検察官が、不起訴には被害者との示談締結を不可欠としてきたことから、早急に、弁護士は、被害者等との示談交渉を開始しました。
ただ今回の示談交渉は、被害者等から、離婚協議に関する内容が条件に組み込まれたことから非常に難航し、勾留期間中の示談を締結することができず、Aさんは、処分保留で釈放されました。
釈放後も、被害者との示談交渉を粘り強く続けたところ、双方の納得できる内容で示談を締結することができ、Aさんは、正式に不起訴となりました。
また不起訴が決定したことから、Aさんは公務員を失職することなく職場復帰することができました。
解決のポイント
勾留された事件の場合、検察官は、勾留の満期と同時に起訴(略式罰金を含む)、不起訴の決定をしますが、今回は、被害者との示談交渉の経過を細かく検察官に報告していたことから、Aさんは勾留の満期を向かえても起訴されずに、処分保留によって釈放されました。
検察官に弁護活動経過を細かく報告して、不起訴を望んだことが、今回の結果を得ることのできた大きな要因ではないでしょうか。