握手会のチケットを偽造 有価証券偽造事件について解説
- 2019年12月20日
- コラム
握手会のチケットを偽造した有価証券偽造事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所堺支部が解説します。
◇有価証券偽造・同行使事件◇
Aさんは、もう何年も前から人気アイドルグループのファンをしています。
先月に発売されたこのアイドルのニューアルバムには、堺市で開催される握手会の参加チケットがもれなく付録としてついていましたが、残念ながらAさんが購入したアルバムはハズレでチケットが付いていませんでした。
どうしても握手会に参加したいAさんは、ファンクラブで知り合った知人に、握手会のチケットを借りて、自宅のカラーコピー機を使用して、チケットを偽造しました。
そして、その偽造チケットを利用して握手会に参加しようとしたのですが、受付の人に偽造チケットであることを見破られてしまい、その場で警察に通報されてしまいました。
Aさんは、大阪府堺警察署に連行されて取調べを受けた際に、警察官から「有価証券偽造・同行使罪」だと説明を受けました。
帰宅したAさんは、今後のことが不安になり、刑事事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所堺支部に法律相談することにしました。
(フィクションです。)
◇有価証券◇
有価証券偽造罪でいうところの「有価証券」とは、財産上の権利を表示する証券であって、その権利を行使処分のために、その証券の占有を必要するものをいいます。その権利とは、財産権であって、物権、債権その他どのような権利であってもよく、形式についても法律で定められていませんし、流通性についても必ずしも必要とされていません。
具体的に有価証券に該当する物としては約束手形、為替手形、小切手、鉄道等の乗車券、百貨店等の商品券、宝くじ、プリペイドカード等が有価証券に該当する可能性があります。
逆に、信用組合出資証券や、下足札、手荷物預り証などは、財産上の権利が証券に表示されていないことから、有価証券に当たらない可能性が高いといえます。
今回の事件でAさんが偽造した、アイドルの握手会のチケットについては、有価証券に該当する可能性が非常に高いでしょう。
◇有価証券偽造罪◇
有価証券偽造罪は、行使(使用)することを目的に有価証券を偽造・変造及び虚偽記入をすることによって成立する犯罪です。
有価証券は、経済上、手形や小切手のように通貨に代わるものと使用される権利、義務に関する文書であることから、有価証券に対する公の信頼を厚く保護する目的で一般文書と区別され、私文書偽造罪よりも重い「3月以上10年以下の懲役」が法定刑として定められています。(※私文書偽造・同行使罪の法定刑については「3月以上5年以下の懲役」)
◇有価証券偽造・同行使罪の弁護活動◇
上記したように有価証券偽造・同行使罪は罰金刑の規定がありません。
そのため、起訴された場合は必ず刑事裁判が開かれて、裁判で刑事罰が言い渡されます。
起訴されるまでは不起訴を目指した弁護活動を行い、起訴されてしまった場合は、進行猶予付きの判決を目指した弁護活動となります。
今回の事件では、実質的な被害者である握手会の主催者と示談交渉を行い、Aさんの減軽を求めることとなるでしょう。
◇刑事事件に強い弁護士事務所◇
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所堺支部は、刑事事件を専門とする法律事務所です。
有印私文書偽造・同行使事件をはじめ刑事事件に関する法律相談を無料で承っていますので、警察の取調べを受けてお困りの方、自身が起こした刑事事件の刑事処分に不安のある方はお気軽にお問い合わせください。
無料法律相談や、初回接見のお問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881で24時間、年中無休で受け付けております。