痴漢事件で現行犯逮捕
- 2020年1月17日
- コラム
痴漢事件での現行犯逮捕について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所堺支部が解説します。
痴漢事件で現行犯逮捕
朝の通勤ラッシュ時に、JR百舌鳥駅から阪和線の快速電車に乗車したAさんは、目の前に立っていた女性のお尻に手が触れてしまいました。
女性が嫌がる素振りをみせなかったので、Aさんは「このまま触り続けても大丈夫ではないか。」と勘違いして、終電の天王寺駅に着くまでの約10分間にわたって女性のお尻等を触り続けてしまいました。
その結果、Aさんは、電車を降りた際に女性に腕を掴まれて痴漢したことを咎められてしまいました。
Aさんは女性の振り払って逃げようとしましたが、周辺にいた人に捕まってしまいました。
(フィクションです)
痴漢事件で逮捕されるケース
痴漢事件で逮捕されるケースの多くは、次の2つです。
①犯行現場で現行犯逮捕
痴漢事件では、被害者や目撃者などによって、その場で身柄確保となる場合が多くなっています。
②後日の通常逮捕
痴漢を行った時には逮捕されず、そのまま現場を後にしたとしても、被害者が警察に被害届を出し、被害者の供述や防犯カメラの映像等から犯人が特定されることも少なくありません。
現行犯逮捕とは
さて、痴漢事件で逮捕されるケースには、現行犯逮捕が多くあることを述べましたが、現行犯逮捕とはどのような逮捕をいうのでしょうか。
「逮捕」は、被疑者の身柄を拘束し、引き続き短時間その拘束を続ける処分です。
逮捕には、「通常逮捕」、「緊急逮捕」、そして「現行犯逮捕」の3種類があります。
刑事訴訟法では、現行犯逮捕について以下のように規定されています。
第212条
現に罪を行い、又は現に罪を行い終つた者を現行犯人とする。
また、以下の項目に該当する場合は「準現行犯逮捕」となります。
一 犯人として追呼されているとき。
二 贓物又は明らかに犯罪の用に供したと思われる兇器その他の物を所持しているとき。
三 身体又は被服に犯罪の顕著な証跡があるとき。
四 誰何されて逃走しようとするとき。
準現行犯逮捕も含めて、現行犯逮捕は、現に罪を行っている、あるいは行い終った直後の者の場合に、逮捕状なしに逮捕できるというものです。
現行犯逮捕の要件は、
①犯罪が行われたこと
②被逮捕者がその犯人であることが逮捕者にとって明白であること
③逮捕の必要性
②について、犯行と逮捕との間が時間的物それほど隔たっていないこと(時間的接着性)と、場所的にも接近していること(場所的接近性)が、犯人の明白性を判断する際の重要な要素だと言われています。
逮捕の必要性③については、判例によれば、「現行犯逮捕も人の身体の自由を拘束する強制処分であるから、その要件はできる限り厳格に解すべきであって、通常逮捕の場合と同様、逮捕の必要性をその要件と解するのが相当である」としています。(大阪高判昭60・12・18)
逮捕の必要性というのは、事案の軽重、捜査の進展の程度、被疑者の年齢・身体の状況等から判断した相当性のことです。
また、犯人として追呼されている等一定の場合(刑事訴訟法第212条2項1号~4号)で「罪を行い終ってから間がないと明らかに認められ」るものを「準現行犯」といい、現行犯人とみなされます。
痴漢の現行犯逮捕に強い弁護士
痴漢事件で容疑を認めている場合には、初犯であり、犯情も悪質でなければ、逮捕されても48時間以内に釈放となる可能性はあります。
逆に言うと、前歴や前科があったり、容疑を否認している、犯行内容が悪質である場合には、逮捕後、勾留となり長期の身体拘束が強いられる可能性もあるということです。
ご家族が痴漢事件で逮捕されてお困りであれば、刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所堺支部の弁護士にご相談ください。