出会い系で知り合った人への強制わいせつ罪
- 2021年10月23日
- コラム
出会い系で知り合った人への強制わいせつ罪について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所堺支部が解説します。
~事例~
大阪府岸和田市に住む会社員のAは恋人がおらず、出会い系サイトを利用していました。
あるとき、出会い系サイトで知り合った女性と二人で会うことになり、飲食店に行った後、そのままカラオケに行くことになりました。
そこで、二人の距離が近づいたことにより、Aは我慢できなくなってしまい、女性の不意をついていきなり女性の胸を鷲掴みにして揉むなどのわいせつ行為をしてしまいました。
女性が悲鳴を上げたことで冷静になったAは、とんでもないことをしてしまったと怖くなり、女性を置いてその場を立ち去ってしまいました。
その後、女性から大阪府岸和田警察署へ相談に行くといった内容のメールなどが来ており、怖くなったAは、刑事事件に強い弁護士に相談することにしました。
(この事例はフィクションです)
強制わいせつ罪
強制わいせつ罪は刑法第176条に規定されています。
刑法第176条
「13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。 13歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。」
条文だけを読むと13歳以上の者に対しては「暴行又は脅迫を用いて」とあることから、相手の抵抗を暴行又は脅迫によって抑圧したうえでのわいせつ行為であるような印象を受けます。
すると、今回のAのように不意を突いてわいせつ行為をした際には成立しないことになってしまいます。
しかし、強制わいせつ罪における暴行は、わいせつ行為自体が暴行にあたる場合も含まれるとされています。
そのため、胸を揉むという行為自体が強制わいせつ罪における暴行とされ、強制わいせつ罪が成立する可能性があるのです。
強制わいせつ罪の罰則は「6月以上10年以下の懲役」と罰金刑の規定がなく、起訴されてしまうと無罪を獲得しない限り、良くて執行猶予判決ということになってしまいます。
そのため、後悔のないように事件解決を目指していくためには、できるだけ早い段階で弁護士の弁護活動を受ける必要があるでしょう。
強制わいせつ罪における示談交渉
強制わいせつ罪は刑法改正によって親告罪から非親告罪となりましたが、示談交渉が有効な弁護活動であることに変わりありません。
特に、今回の事例のように、被害者が警察に通報する前に連絡を取ってきているような場合には、示談締結によって事件が解決となることもありますので、示談交渉は非常に重要となるでしょう。
しかし、警察に通報する前の示談だからこそ、単に金銭を支払うだけでなく、その後に通報されたとしても、有効となるような示談を締結するべきです。
最悪の場合、お金を支払ったが通報されてしまい、証拠が残っておらず示談した事実が捜査機関に認めてもらえないということになりかねません。
このような事態を避けるためにも、刑事事件に強い弁護士に示談交渉を依頼するようにしましょう。
刑事事件に強い弁護士がきちんと入って示談を締結し、示談書やお金を振り込んだ証拠を残しておくことができれば、仮に示談締結後に被害者が警察に通報したとしても、事件化しない、もしくは不起訴処分となる可能性は高まります。