藤井寺市の公務執行妨害事件
- 2019年12月14日
- コラム
藤井寺市の公務執行妨害事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所堺支部が解説します。
◇公務執行妨害事件◇
会社員のAさんは、会社の同僚と藤井寺市の居酒屋でお酒を飲んでおり、その時に、隣の席のグループと些細なことからトラブルになり、口論になってしまいました。
店員が仲裁に入りましたが、お互いの怒りが収まらずトラブルが長引いたので、店員は110番通報しました。
その後、通報で駆け付けた大阪府羽曳野警察署の警察官が仲裁に入りましたが、警察官から「アンタが誤ったら済む話やないか。」と言われて、謝罪を強要されたことに激高したAさんは、咄嗟に警察官の胸倉を掴み、警察官を突き飛ばしてしまいました。
そしてAさんは、他の警察官によって、公務執行妨害罪で逮捕されてしまったのです。
Aさんの同僚から逮捕の知らせを受けた家族は、藤井寺市の公務執行妨害事件に強い弁護士を探しています。
(フィクションです。)
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◇公務執行妨害罪◇
公務員に対して、暴行、脅迫を加えて、公務を妨害すれば公務執行妨害罪となります。
公務執行妨害罪は、公務員の身体の安全や意思決定の自由を保護するものではなく、公務の公正かつ円滑な遂行を保護するための法律ですので、公務員に暴行、脅迫を加えたからといって必ず成立する犯罪ではなく、その暴行、脅迫によって、公務員の業務に支障が出たり、公務員の業務に支障をきたすおそれた生じた場合にのみ成立し得る犯罪です。
公務員に対して暴行、脅迫を加えても、公務員の業務に影響がなければ、その行為は公務執行妨害罪ではなく、暴行罪や脅迫罪といった犯罪を成立するにとどまります。
刑法上の「公務員」とは、刑法第7条1項に定義されているとおりですが、公務執行妨害罪においては、公務員としての身分を有していても、ある程度、精神的、知能的な公務に従事する者を対象にしているのであって、そうでない者は、公務員法上の公務員としての身分を有していても対象とならない場合があります。
ちなみに、駐車監視員等のみなし公務員であっても、公務執行妨害罪の対象となります。
~公務執行の適法性~
公務執行妨害罪で保護されている公務員の業務(公務)は適法なものでなければなりません。
ここでいうところの「適法」とは、公務員の職務執行が法規と完全に一致することをいうのではなく、刑法によって保護されるべきものかどうかによって判断されます。
適法な公務であるかどうかの判断は諸説ありますが、基本的に、公務員の職務執行時の状況や、公務員の言動等が総合的に考慮されて判断されます。
~公務執行妨害罪の「故意」~
公務執行妨害罪の「故意」は、行為者が
●相手が公務員である事実
●公務員が職務を行っている、若しくは行おうとしている事実
●公務員に対して暴行、脅迫を加えること
の認識、容認があれば足り、行為者にして、公務員の業務を妨害する意思までは必要としません。
~公務執行妨害罪の「法定刑」~
公務執行妨害罪の法定刑は「3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金」です。
公務員に対する暴行や脅迫行為は、公務執行妨害罪に吸収されて独立して犯罪を構成しませんが、公務員に対する暴行によって、公務員に負わせてしまった場合は、公務執行妨害罪と傷害罪は、観念的競合となり、刑事罰は、傷害罪の法定刑である「15年以下の懲役又は50万円以下の罰金」の範囲内で科せられることとなります。
※観念的競合・・・一つの行為が複数の罪名に触れる場合。観念的競合の場合、刑を科する上で一罪として扱われ、数個の罪のうち、最も重い罪の法定刑によって処断される。