【風俗トラブル】性風俗店での本番行為が強制性交等罪等の警察沙汰に発展

性風俗店での本番行為が強制性交等罪等の警察沙汰に発展した事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所堺支部が解説します。

◇風俗トラブルの事例◇

会社員のＡさんは、先日、派遣型の性風俗店を利用しました。
インターネットで検索したお店を予約して、南海堺東駅近くのホテルに風俗嬢を派遣させて性サービスを受けたのですが、その際にＡさんは、風俗嬢に対して「一万円払うから本番させて。」とお願いしました。
風俗嬢が、これに承諾したことからＡさんは、この風俗嬢と性交渉に及びましたが、行為後にお金を払うのがもったいなくなったＡさんは、風俗嬢に一万円を請求されましたが「お店の規約に違反しているのだから払わない。このことがお店に知られたら君も困るだろう。」と言って一万円を支払いませんでした。
すると後日、この風俗嬢から電話がかかってきて「強姦で警察に訴えました。」と言われてしまいました。
（フィクションです。）

◇風俗トラブルが刑事事件に発展◇

今回の事例はフィクションですが、このような性風俗店でのトラブルに関するご相談は増加傾向にあります。
これから年末にかけてお酒を飲む機会が増え、中には酒に酔った勢いで性風俗店を利用される男性も多いかと思いますが、各性風俗店の規約に違反すると、風俗嬢やお店とのトラブルに発展しかねませんし、最悪の場合は、警察に被害届を出されて刑事事件に発展する可能性もあるので注意しなければなりません。

◇刑事事件に発展した場合の罪名◇

それでは今回の事件がどのような刑事事件に発展する可能性があるのかについて解説します。

～強制性交等罪～

「強制性交等罪」と聞いてもあまり馴染みがありませんが、これは刑法が改正されるまで「強姦罪」といわれていた犯罪です。
いわゆるレイプのことですが、Ａさんの行為を考えてみると、風俗嬢との性交渉が、お店の規約に違反しているとしても、風俗嬢の同意を得た上で性交渉に及んでいるのであれば強制性交等罪が成立する可能性は極めて低いと考えられます。
ただ風俗嬢は、約束のお金を受け取っていませんので、そのことを逆恨みして「無理矢理やられた。」と警察に証言している可能性があります。
その場合、性交渉の事実は存在するため、同意の有無が争点になってくるでしょうが、警察は被害者である風俗嬢の証言を基に捜査を進めるので、Ａさんが強制性交等罪で捜査される可能性はあるでしょう。

強制性交等罪の法定刑は「５年以上の有期懲役」と非常に厳しいものです。
罰金刑の規定のない非常に厳しい法定刑で、起訴された場合は、無罪を獲得しない限り、初犯であっても刑務所に服役する可能性が非常に高い犯罪ですので、警察の捜査を受けている方は早急に刑事事件に強い弁護士に相談することをお勧めします。

～詐欺罪～

Ａさんは風俗嬢に対して「一万円払うから本番させて。」と言って性交渉に及んでいます。このような性交渉（本番行為）のサービスは二項詐欺罪でいうところの「財産上の不法の利益」ということができるでしょうから、最初からＡさんに一万円を支払う意思がないのに、風俗嬢に性交渉を申し入れて、風俗嬢を騙してサービスを受けているのであれば詐欺罪が成立する可能性が出てきます。
逆に、風俗嬢に性交渉を申し入れた時点では、Ａさんに一万円を支払う意思があったが、性交渉後に支払う意思がなくなった場合は、詐欺罪の構成要件となる「欺罔行為（※）」が存在しないので、詐欺罪は成立しないでしょう。
詐欺罪の法定刑は「１０年以下の懲役」です。
強制性交等罪の法定刑と同じく罰金刑の規定はありませんが、起訴されたとしても、初犯であれば、被害額が少なければ執行猶予付きの判決の可能性が高い犯罪です。

※欺罔行為・・・詐欺罪の構成要件の一つで、相手を騙す行為のこと。

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