飲酒運転の交通事故が危険運転致傷
- 2020年7月4日
- コラム
飲酒運転での危険運転致傷について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所堺支部が解説します。
◇飲酒運転の交通事故◇
大阪府泉佐野市に住むAは、代行を頼むつもりで会社の飲み会に自分の車で参加しました。
その飲み会でAは記憶がなくなるまで飲んでしまい、気が付くと病院のベッドの上でした。
Aは、飲み会後、自分で車を運転して帰ろうとして国道を逆送し、走行中の車と衝突してしまいました。
事故被害にあった男性は命に別状はありませんでしたが、大けがを負っています。
Aは、たいしたケガもなかったため、退院と同時に危険運転致傷で大阪府泉佐野警察署の警察官に逮捕されることになってしまいました。
Aが逮捕されたという連絡を受けたAの妻は刑事事件に強い弁護士に初回接見を依頼することにしました。
(この事例はフィクションです。)
飲酒運転
お酒を飲んだ状態で車を運転した場合、道路交通法に規定されている酒気帯び運転、若しくは酒酔い運転となってしまいます。
酒気帯び運転は、呼気1リットル中0.15ミリグラム以上のアルコールを身体に保有している状態で運転することです。
刑事罰として「3年以下の懲役又は50万円以下の罰金」が規定されています。
酒酔い運転は数値ではなく、アルコールの影響で正常な運転ができない状態で運転した場合に適用されます。
罰則は「5年以下の懲役又は100万円以下の罰金」です。
さらに飲酒運転で人身事故を起こしてしまった場合には、「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(自動車運転処罰法)」によってさらに重く処罰されることになります。
飲酒運転での人身事故
人身事故を起こしてしまった場合、自動車運転処罰法の過失運転致傷となる可能性があります。
過失運転致傷の罰則は「7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金」が規定されています。
飲酒運転だった場合には、先述の酒気帯び運転や酒酔い運転での道路交通法違反との併合罪が成立し、さらに重く処罰されます。
危険運転致傷
飲酒運転で人身事故を起こしてしまった場合、これまで紹介したものよりもさらに重い法令が適用される可能性があります。
それは、自動車運転処罰法の危険運転致傷罪です。
自動車運転処罰法第2条第1号には、アルコールや薬物の影響により「正常な運転が困難な状態」で自動車を走行させた危険運転致死傷罪が規定されています。
罰則は、人を負傷させたときは「15年以下の懲役」、人を死亡させたときには「1年以上の有期懲役」がそれぞれ規定されています。
また、自動車運転処罰法第3条第1項には、アルコールや薬物の影響で「その走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態」で、自動車を運転しそのアルコール又は薬物の影響によって「正常な運転が困難な状態」に陥った場合についても規定されています。
こちらの罰則は、人を負傷させた場合「12年以下の懲役」、死亡させた場合には「15年以下の懲役」です。
こちらの規定は第2条の危険運転致死傷よりも軽い罰則が規定されていることから、3条危険運転や準危険運転と呼ばれこともあります。