児童ポルノの製造罪で逮捕
- 2020年2月1日
- コラム
児童ポルノ事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所堺支部が解説します。
◇児童ポルノの製造事件◇
貝塚市に住む会社員のAさんは、数カ月前にSNSで知り合い、メールでやり取りを重ねていた17歳の少女に対して、「裸の写真を送ってくれ」といった内容のメールを送信し、少女から下着姿と、性器を露出した画像を受信しました。
その後も、Aさんは少女にわいせつな自撮り画像を要求しましたが、少女に断られたことから、Aさんは、少女に「送信しなければお前の下着姿をネットに晒すぞ。」等とメールを送信して、更なる自撮り画像の送信を要求したのです。
その後少女と連絡が取れなくなったのですが、しばらくしてAさんは、大阪府貝塚警察署の警察官に、児童ポルノの製造罪で逮捕されてしまいました。
Aさんの両親は逮捕の知らせを受け、刑事事件に強い弁護士に初回接見を依頼しました。
(この事例はフィクションです)
◇児童ポルノの製造罪◇
Aさんのように、SNS上でのやりとりで児童ポルノに当たるような写真を要求し、実際に送られてきたような場合には、児童ポルノの製造罪となり、「3年以下の懲役又は300万円以下の罰金」の刑事罰を受ける可能性があります。
また、相手が一方的に送り付けてきたような場合であってもその画像を保存していたような場合には、児童ポルノの所持罪となってしまう可能性が高いです。
児童ポルノの所持罪の罰則は「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」となっています。
なお、児童ポルノについては以下のような写真や画像等をいいます。
児童買春、児童ポルノ法第2条第3項
第1号 児童を相手方とする又は児童による性交又は性交類似行為に係る児童の姿態
第2号 他人が児童の性器等を触る行為又は児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの
第3号 衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位(性器等若しくはその周辺部、臀部又は胸部をいう。)が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの
◇強要罪◇
Aさんのように、さらに脅迫をして何かを要求している場合には、強要罪となる可能性もあります。
~強要罪~
刑法第223条
1 生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者は、3年以下の懲役に処する。
2 親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者も、前項と同様とする。
3 前2項の罪の未遂は、罰する。
Aさんは脅迫をして、「義務のない写真を撮って送らせる」という、少女にとって義務のない行為をさせようとしています。
これは強要罪となる可能性が非常に高いでしょう。
強要罪については、未遂の処罰規定もあるため、脅迫又は暴行を用いて相手に義務のないことを要求した段階で強要未遂罪となり、事件化してしまう可能性があります。