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(事例紹介)飲酒運転の身代わり教唆で書類送検された事例 | その他の刑法犯事件 | 刑事事件の弁護士ならあいち刑事事件総合法律事務所 堺版

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(事例紹介)飲酒運転の身代わり教唆で書類送検された事例

(事例紹介)飲酒運転の身代わり教唆で書類送検された事例

~事例~

店で飲酒した後に車で事故を起こした常連客に頼まれ、店員を身代わりにしたとして、大阪府警は30日、居酒屋店主の男(34)=大阪府泉佐野市=を犯人隠避教唆容疑で書類送検し、発表した。容疑を認めているという。
泉南署によると、居酒屋の常連客の男(31)が3月10日未明、泉南市の国道26号で酒を飲んで軽トラックを運転した。店主は男と共謀し、男の処罰を免れようと、店のアルバイト店員の女(30)に身代わりになるよう依頼した疑いがある。
常連客は道路交通法違反(酒気帯び運転)容疑などで、店員は犯人隠避容疑で、それぞれ書類送検された。2人も容疑を認めているという。
(後略)
(※2022年5月30日21:28朝日新聞デジタル配信記事より引用)

~飲酒運転の身代わり出頭~

今回紹介した記事では、飲酒運転の身代わり事件によって、居酒屋店主の男性や店員の女性、常連客の男性が検挙されています。
まずは、飲酒運転の身代わり出頭がどういった犯罪になり得るのかを確認してみましょう。

そもそも、飲酒運転は道路交通法違反という犯罪に当たる行為です。
そして、飲酒運転に限らず、一定以上の重さの刑罰が定められている犯罪をした人や、その犯罪をした容疑をかけられている人の身代わりになって出頭などをすると、刑法に定められている犯人隠避罪という犯罪が成立する可能性があります。

刑法第103条
罰金以上の刑に当たる罪を犯した者又は拘禁中に逃走した者を蔵匿し、又は隠避させた者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。

犯人隠避罪における「隠避」とは、「蔵匿」以外の方法で捜査機関などから犯人を逃がしたり隠したりすることを指します。
「蔵匿」とは、場所を提供して匿うことを指します。
身代わり出頭という行為は、本当はその犯罪をしていない人や犯罪を疑われていない人が捜査機関などに出頭することですから、本来犯罪をした人若しくは犯罪をしたと疑われている人を隠すことに繋がる行為です。
このことから、身代わり出頭は犯人隠避罪に当たる行為になります。

ただし、この犯人隠避罪については特例が定められています。

刑法第105条
前二条の罪については、犯人又は逃走した者の親族がこれらの者の利益のために犯したときは、その刑を免除することができる。
※注:「前二条の罪」とは、刑法第103条の犯人蔵匿罪/犯人隠避罪と、刑法第104条の証拠隠滅等罪のことを指します。

つまり、犯人隠避罪に当たる行為であっても、犯人本人や犯人の親族がした場合には、刑罰を受けない可能性もあるということです(必ずしも免除されるわけではありません。)。
しかし、今回取り上げた記事のように、飲酒運転をした本人(常連客の男性)と犯人隠避罪に当たる行為をした人(店主の男性・店員の女性)が他人同士の場合には、他の犯罪同様、有罪となれば刑罰が科されるということになります。

~教唆とは~

ここで紹介した報道を見てみると、店主の男性は、身代わり出頭による犯人隠避罪の「教唆」をした容疑で検挙されているようです。
教唆とは、犯罪をする意思を持っていなかった人に対して、犯罪をするようにそそのかす行為を指します。
自分自身がその犯罪を実行するわけではなく、元々その犯罪をしようと考えていなかった他の人が犯罪をするように仕向けるといったイメージが分かりやすいかもしれません。

今回の事例では、店主の男性自身は飲酒運転の身代わり出頭をしたわけではありませんが、店員の女性に依頼をして、常連客の男性(飲酒運転をした人)の身代わり出頭をさせています。
つまり、店員の女性が身代わり出頭=犯人隠避罪に当たる行為をするように仕向けているということで、店主の男性には犯人隠避罪の教唆という容疑がかけられているということになるのです。

犯罪の教唆をした人を教唆犯と呼びますが、教唆犯は正犯=その犯罪を実際に実行した人と同じように処罰されます。

刑法第61条第1項
人を教唆して犯罪を実行させた者には、正犯の刑を科する。

つまり、今回の事例でいえば、身代わり出頭=犯人隠避罪を教唆した店主の男性も、身代わり出頭=犯人隠避罪を実行した店員の女性も、有罪となれば「3年以下の懲役又は30万円以下の罰金」という範囲の刑罰を下されることになるということになります。

共犯が存在する刑事事件では、普段の生活では使わない用語や考え方が特に多く登場します。
どういった刑罰が考えられるのかということだけでなく、刑事手続への対応の仕方が変わってくることもありますから、かけられている容疑の内容や仕組みをきちんと理解しておくことが重要です。
そのためにも、刑事事件の当事者となってしまったら、まずは弁護士に話を聞いてみることをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、飲酒運転などの身代わり出頭事件を含む、刑事弁護活動全般についてご相談をお受けしています。
まずはお問い合わせ用ダイヤル0120-631-881までご連絡ください。

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