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(事例紹介)自宅に遺体を放置して死体遺棄罪の容疑 | その他の刑法犯事件 | 刑事事件の弁護士ならあいち刑事事件総合法律事務所 堺版

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(事例紹介)自宅に遺体を放置して死体遺棄罪の容疑

(事例紹介)自宅に遺体を放置して死体遺棄罪の容疑

~事例~

妻とみられる遺体を半年余り自宅で放置したとして、大阪府警羽曳野署は6日、藤井寺市、貸家業の男(77)を死体遺棄容疑で逮捕したと発表した。逮捕は5日。男は「体調を崩して亡くなったが、好きで離れたくなかった」と容疑を認めているという。
発表では、男は今年2月下旬、自宅で同居する妻(当時71歳)とみられる女性が死亡しているのを確認したが、そのまま放置した疑い。
(略)
(※2022年10月7日17:03読売新聞オンライン配信記事より引用)

~遺体を放置するだけでも「遺棄」~

今回取り上げた報道では、男性が死体遺棄罪の容疑で逮捕されたとされていますが、その容疑の内容は、自宅で亡くなった妻の遺体をそのまま放置したというものです。
死体遺棄罪という犯罪名でイメージされる内容は、遺体を山などに捨ててしまうというものではないでしょうか。
このイメージに反するようですが、今回の事例で報道されているように、遺体をそのまま放置するだけでも死体遺棄罪となり得ます。

死体遺棄罪は、刑法第190条に定められている犯罪で、同じ刑法第190条で死体損壊罪なども定められています。

刑法第190条
死体、遺骨、遺髪又は棺に納めてある物を損壊し、遺棄し、又は領得した者は、3年以下の懲役に処する。

死体遺棄罪は、この条文の「死体…を…遺棄し」たという部分に当てはまった場合に成立する犯罪です。
「遺棄」という言葉からは、先ほど挙げたような、「どこかに捨てる」というイメージが思い浮かびやすいですが、死体遺棄罪の条文では、社会風俗上の埋葬とは認められない方法によって死体等を放棄することであると捉えられています。
つまり、イメージされやすい「どこかへ遺体を捨ててしまう」といった行為はもちろん、埋葬せずに遺体を放置しておく、そのままにしておくという「何もしないこと」も死体遺棄罪になり得るということなのです。

今回取り上げた事例では、容疑者である男性が、自宅で亡くなった妻の遺体をそのままにして放置していたとされています。
この場合、男性は妻の遺体を手続きに則って埋葬しなければならないところ、それをせずにいたということになります。
そのため、社会風俗嬢の埋葬とは認められない方法によって遺体を放棄しているということになるため、死体遺棄罪の容疑を架けられるに至ったものと考えられます。

死体遺棄罪のように、一般に犯罪名から内容が想像しやすい犯罪であっても、そのイメージと離れた行為で犯罪が成立することがあります。
そうした状況で自身や家族がその当事者となってしまえば、不安・負担が大きくなってしまうことでしょう。
だからこそ、早い段階で法律の専門家である弁護士に相談し、どうしてその犯罪の容疑がかけられているのか、今後の手続にどのように対応すべきなのかを把握してから刑事手続に臨むことが望ましいといえます。

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