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(事例紹介)飲み物に尿を入れて暴行罪 | コラム | 刑事事件の弁護士ならあいち刑事事件総合法律事務所 堺版

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(事例紹介)飲み物に尿を入れて暴行罪

(事例紹介)飲み物に尿を入れて暴行罪

~事例~

同僚女性の水筒に尿を混入させて飲ませたとして、大阪府警西堺署は16日、暴行と器物損壊の疑いで、(中略)会社員(中略)を逮捕した。
(中略)
逮捕容疑は1月28日、堺市西区の会社内で、30代女性のルイボス茶が入った水筒に尿を入れ、飲ませたとしている。
(後略)
(※2022年3月16日産経新聞配信記事より引用)

・飲み物に尿を入れることと暴行罪

今回取り上げた事例は、逮捕された容疑者は、同僚の女性の水筒に尿を入れたとして、暴行罪と器物損壊罪に問われたという内容です。
暴行事件というと人を殴るといったイメージがわきやすいでしょうし、器物損壊事件というと物を壊すというイメージがわきやすいでしょうが、今回の事例はどちらともかけ離れた態様です。
尿を人の飲み物に入れるという行為で、本当に暴行罪や器物損壊罪に問われうるのでしょうか。

まずは今回の記事で、暴行罪について確認してみましょう。
暴行罪は、刑法第208条に定められている犯罪です。

刑法第208条(暴行罪)
暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

大まかにまとめると、暴行罪は人に暴行を加え、その相手が怪我を負わなかった時に成立する犯罪といえます(相手が怪我をした場合には傷害罪となります。)。
この「暴行」については、殴る蹴るといった「暴行」だけでなく、「身体に対する不法な有形力の行使」を「暴行」と考えることとなっています。
暴行罪の「暴行」は、人の身体に向けられたものであれば足り、必ずしもそれが人の身体に直接接触することを要しないと解されていますが、相手の五官に直接間接に作用して不快ないし苦痛を与える性質のものである必要があると考えられています。
例えば、人にものを投げつけることや、人に対して体液をかけることなども暴行罪の「暴行」に当たると考えられています。

ここで今回の事例について考えてみましょう。
今回の事例は、飲み物に尿を入れて女性に飲ませるという行為が問題になっています。
容疑者自身が女性に対して直接触れるような形で行為をしているわけではないですが、女性が口にすると分かっている水筒の飲み物に尿を入れて飲ませています。
容疑者の尿を飲み物に入れて飲ませるという行為は、女性の身体に向けられた行為であり、かつ、女性の身体に何らかの作用をして、女性に不快感を与えるものであると考えられます。
こうしたことから、容疑者の行為は暴行罪の「暴行」に当たると判断され、逮捕容疑の1つに暴行罪があるということなのでしょう。

また、女性が尿を飲まされたことで体調を崩すなどの影響があった場合には、暴行罪ではなく傷害罪に問われる可能性も出てくることとなります。

刑法第204条(傷害罪)
人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

暴行事件・傷害事件というと、どうしても喧嘩などの物理的な「暴行」によって刑事事件化するイメージが強いですが、今回取り上げた事例のような直接的でない態様でも暴行事件や傷害事件に発展するケースもあります。
刑事事件の容疑者となってしまったら、どういった行為にどのようなプロセスでどの犯罪が成立し、容疑をかけられているのかということを把握することも大切です。
自身にかけられている容疑をきちんと把握することで、今後の刑事手続への対応の仕方や見通しが分かりやすくなります。
そのためにも、早い段階で弁護士に相談してみることをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件についてのご相談を初回無料で受けつけています
逮捕・勾留されている方には、有料の初回接見サービスもご用意していますので、まずはお気軽にお問い合わせください。

次回の記事ではこちらの事例と器物損壊罪について取り上げます。

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