(事例紹介)大阪府のわいせつ略取・強制わいせつ事件
- 2022年8月4日
- コラム
(事例紹介)大阪府のわいせつ略取・強制わいせつ事件
~事例~
小学生の女児を連れ回しわいせつ行為をしたとして、大阪府警捜査1課は2日、わいせつ略取と強制わいせつの疑いで、(中略)容疑者(中略)を逮捕したと発表した。
容疑を認めている。
逮捕容疑は7月下旬、府内の路上で10代の小学生女児に声をかけ、連れていった駐輪場でスカートを脱がせたうえ、下半身を触るなどしたとしている。
(後略)
(※2022年8月2日19:29YAHOO!JAPAN配信記事より引用)
・わいせつ略取罪とは
今回取り上げた事例では、容疑者はわいせつ略取罪と強制わいせつ罪の容疑で逮捕されているようです。
強制わいせつ罪は痴漢事件などでも成立することのある犯罪で、比較的耳にすることもある犯罪ではないかと思われます。
対して、わいせつ略取罪はなかなか報道される機会も多くない犯罪であり、どういった犯罪なのかイメージしづらいという方もいるのではないでしょうか。
そこで、今回はわいせつ略取罪について注目していきます。
わいせつ略取罪とは、刑法第225条に定められている犯罪の1つです。
刑法第225条
営利、わいせつ、結婚又は生命若しくは身体に対する加害の目的で、人を略取し、又は誘拐した者は、1年以上10年以下の懲役に処する。
刑法第225条では、特定の目的のために人を略取・誘拐した者に対して成立する犯罪をさだめており、わいせつ略取罪はそのうちの1つです。
ここで、「略取」とは、暴行や脅迫などを用いて、相手の意思に反してその生活環境から離脱させて自身や第三者の支配下に置くことを指します。
対して、「誘拐」とは、欺罔や誘惑などを手段として、相手をその生活環境から離脱させて自身や第三者の支配下に置くことを指します。
例えば、相手を殴ったり無理矢理捕まえたりして連れ去った場合には「略取」になりますし、物をあげることを引き合いに出したり家族が急病になったと騙したりして連れ去った場合には「誘拐」となります。
この「略取」をわいせつ目的で行った場合には、わいせつ略取罪という犯罪が成立するということになります(わいせつ目的で誘拐をすればわいせつ誘拐罪になります。)。
では、今回の事例を確認してみましょう。
今回の事例について、報道では「路上で10代の小学生女児に声をかけ、連れていった駐輪場でスカートを脱がせたうえ、下半身を触るなどした」という容疑になっています。
この「スカートを脱がせたうえ、下半身を触るなどした」部分は強制わいせつ罪にあたる行為と考えられますから、「路上で10代の小学生女児に声をかけ」て駐輪場に連れて行った行為がわいせつ略取罪にあたると考えられているのでしょう。
容疑者がどのように被害者を連れ去ったかは報道の内容から定かではありませんが、例えば被害者の腕を引っ張りながら連れ去ったとか、無理矢理駐輪所に連れ出したなどの方法であった場合には「略取」であったといえるでしょう。
そして、最終的に容疑者は被害者に対して強制わいせつ行為をしており、そのために「略取」をしていると考えられ、わいせつ略取罪の容疑がかけられているということなのでしょう。
わいせつ略取罪は、罰金刑の設定されていない犯罪であり、非常に重い犯罪であるといえます。
また、今回の事例のように、強制わいせつ罪にも問われているなど、別の犯罪が追加で成立しているケースでは、より重い刑罰が予想されます。
被害者への謝罪など、必要な弁護活動は数多く考えられますから、早い段階で弁護士に相談してみることが重要です。
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