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(事例紹介)倒れた家族を放置して保護責任者遺棄罪で逮捕された事例 | コラム | 刑事事件の弁護士ならあいち刑事事件総合法律事務所 堺版

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(事例紹介)倒れた家族を放置して保護責任者遺棄罪で逮捕された事例

(事例紹介)倒れた家族を放置して保護責任者遺棄罪で逮捕された事例

~事例~

台所で倒れていた父親を放置したとして、大阪府警黒山署は20日、保護責任者遺棄容疑で、(略)容疑者(37)を逮捕した。父親は死亡しており、(略)容疑者は「体調不良で寝ていて、死ぬとは思っていなかった」と容疑を否認しているという。
逮捕容疑は13日夜、自宅で同居する父(略)が台所で倒れているのを見つけたが、医師の診察を受けさせるなど必要な措置を取らず、19日朝まで放置したとしている。
(略)
(※2022年4月20日11:45産経新聞配信記事より引用)

~「しない」ことで成立する犯罪~

今回取り上げた事例では、男性が保護責任者遺棄罪の容疑で逮捕されたと報道されています。
今回は、男性の逮捕容疑となっている保護責任者遺棄罪について確認していきます。
保護責任者遺棄罪は、刑法第218条に定められており、続く刑法第219条には保護責任者遺棄致死傷罪が定められています。

刑法第218条(保護責任者遺棄罪)
老年者、幼年者、身体障害者又は病者を保護する責任のある者がこれらの者を遺棄し、又はその生存に必要な保護をしなかったときは、3月以上5年以下の懲役に処する。

刑法第219条(保護責任者遺棄致死傷罪)
前二条の罪を犯し、よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。

保護責任者遺棄罪は、「老年者、幼年者、身体障害者又は病者」について、「保護する責任のある者」がその者を「遺棄」又は「その生存に必要な保護をしなかった」ときに成立する犯罪です。
犯罪というと、何かいけないことを「する」というイメージを持ちやすいですが、この保護責任者遺棄罪では、「必要な保護を『しなかった』」という「しない」ことが犯罪になります。

例えば、今回取り上げた事例に当てはめてみましょう。
今回取り上げた事例では、男性が同居する父親が倒れたにも関わらず、医師に診せるなどの措置を取らなかったと報道されています。
報道では、男性は父親と2人暮らしとされていることから、男性の父親が倒れてしまうほど身体の調子が悪い状態であれば、男性が父親を保護する責任があったと考えられるでしょう。
しかし、男性はそういった保護をすることなく父親を放置した=「老年者、幼年者、身体障害者又は病者を保護する責任のある者がこれらの者を遺棄し、又はその生存に必要な保護をしなかった」と考えられ、保護責任者遺棄罪の容疑をかけられるに至ったと考えられます。

そして、報道の時点では、男性にかけられている容疑は保護責任者遺棄罪ですが、もしも今後の捜査で、男性の父親の死亡結果と、男性の保護責任者遺棄行為に因果関係があるとされた場合、被疑罪名が保護責任者遺棄致死罪となる可能性もあります。
結果的加重犯(犯罪に当たる行為をしてより重い結果が発生した場合にその重い結果についても責任を問うという犯罪)となる犯罪がある場合、捜査の進度によって被疑罪名が変更される可能性もあるため、注意が必要です。
保護責任者遺棄罪・保護責任者遺棄致死罪いずれにしても、その刑罰は重いものとなることが予想されるため、早期に弁護士に相談し、刑罰の軽減や執行猶予を求める弁護活動を開始してもらうことが望ましいでしょう。

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