【自転車事故】事故後の対処方法と刑事事件
- 2020年5月30日
- コラム
自転車事故を起こしてしまった場合の、事故後の対処方法と刑事事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所堺支部が解説します。
◇自転車の事故◇
堺市に住むAさんは、大阪市内にある職場への通勤に電車を利用していましたが、コロナウィルスの感染リスクを考え、非常事態宣言が発令されてからは、自転車を購入して自転車通勤をしています。
ある雨の日、仕事帰りに自転車を運転していたAさんは、横断歩道を横断する歩行者の男性に気付くのが遅れて、歩行者に接触する事故を起こしてしまいました。
歩行者の男性は地面に手をついて転倒しましたが、さいわい手のひらを擦り剥いただけの軽傷でした。
Aさんはすぐに110番通報し、交通事故を警察に届け出ました。
そして事故の届け出が終わると、歩行者の男性と一緒に病院に行き、男性に深く謝罪したのです。
男性からは「大事にする気はないから」と言ってもらえたので安心して帰宅したAさんでしたが、インターネットで調べていると「自転車の事故でも刑事事件になる可能性がある。」ことを知って、今後の事が不安になりました。
※フィクションです。
◇事故を起こした場合の措置◇
まず自転車を運転中に人と接触する交通事故を起こしてしまった場合の正しい対処を解説します。
①まずは事故の相手方を歩道など安全な場所に避難させ、自分自身も安全な場所に避難しましょう。
②相手方の負傷を確認し、救急車(119番通報)の必要があるかどうかを確認しましょう。
③怪我の程度が重い場合や、負傷者が救急車を要請した場合は119番通報し、救急車を要請しましょう。
④負傷者の措置が終われば、110番通報しましょう。
⑤警察官の到着を待って事故の届け出を行いましょう。
以上が、交通事故を起こしてしまった方が、最低限にとるべき措置です。
当然、相手方が負傷していなかったり、救急を拒否した場合は③を省略しても問題ありませんし、119番通報よりも先に110番通報してしまっても、警察から救急を要請してもらえる場合もありますが、②と③は救護義務、そして④は交通事故を警察に届け出るといった、事故を起こした者に科せられる義務ですので、これらの措置を怠ってしまうと、救護義務違反者や、交通事故の不申告罪といった刑事罰の対象になる場合があるので、注意しなければなりません。
◇物損事故の手続き◇
それでは、Aさんの起こした自転車と歩行者の軽微な交通事故を、警察はどの様に処理するのでしょう。
警察は、このような被害者の負傷が極めて軽い交通事故を、最初は『物損事故』として扱います。
警察は『物損事故』に対しては、捜査をほとんど行わず、事故を受理するだけにとどまります。
そのため事故現場で最低限の事情聴取を受けるだけに終わり、前記している事故を起こした場合の措置をとっていれば刑事事件の手続きが進むことはなく、刑事罰を科せられることもありません。
◇人身事故に切り替わることも◇
事故直後の届け出で『物損事故』として扱われていても、後日、被害者が診断書を警察に提出すれば物損事故は、人身事故に切り替わり、刑事手続きの対象となります。
Aさんのような自転車での軽微な人身事故の場合は、適用される可能性があるのは「過失傷害罪」若しくは「重過失傷害罪」でしょう。
過失傷害罪の法定刑は「30万円以下の罰金又は科料」であるのに対して、重過失傷害罪の法定刑は「5年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金」と非常に重たいものです。
重過失傷害罪の『重』は、結果の重大なことを意味するのではなく、注意義務違反が重大なことを意味するので、被害者の負傷程度が軽くても、加害者の落ち度(注意義務違反の程度)が重大で、それによって事故が起こってしまったと判断された場合は、重過失傷害罪が適用される場合があります。
◇交通事故に強い弁護士◇
交通事故は誰しもが遭遇する可能性があります。
そのため交通事故は、誰もが身近に感じる刑事事件の一つでしょう。
堺市で起こった自転車による交通事故でお困りの方は、刑事事件に強いと評判の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所堺支部にお問い合わせください。