貝塚市の窃盗事件 パチンコ店で置き引き
- 2020年3月15日
- コラム
【貝塚市の窃盗事件】パチンコ店での置き引きについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所堺支部が解説します。
◇パチンコ店で置き引き◇
貝塚市のパチンコ店で、鍵のかかっていないロッカーから現金21万円が盗まれた置き引き事件で、消防署の職員が大阪府貝塚警察署に逮捕された事件が報じられました。
報道によりますと、この事件は、今年1月に、貝塚市のパチンコ店において、客の女性がダイヤル式のロッカーにカバンを預けましたが、ロックするのを忘れてしまいました。
その後、ロッカーにロックがされていないことに気付いた他の客が、店員に届け出たようですでが、カバンを預けていた女性がカバンを確認したところ現金21万円が盗まれていたようです。
その後、大阪府貝塚警察署がパチンコ店の防犯カメラ映像を捜査して、消防署職員の関与が明らかになって逮捕に至ったようですが、警察の取調べに対してこの職員は「カバンの中の物は一切持ち出していません」と容疑を否認しているようです。
(2月10日の新聞各社の記事から引用)
◇置き引き◇
置き引きは窃盗罪の一種です。
窃盗罪は、簡単に言うと「人の物を盗る」ことによって成立する犯罪ですが、人の物を盗ったからといって必ず窃盗罪が成立するわけではありません。
そこでまず窃盗罪について詳しく解説します。
~窃盗罪の「客体」~
窃盗罪の客体は、他人の占有する他人の「財物」です。
つまり、人の占有を離れている他人の物を盗ったとしても、それは窃盗罪には当たらず、遺失物(占有離脱物)横領罪となります。
今回の事件で、被害者はカバンをロッカーに預けています。
被害者はカバンから離れているので占有を離れているのでは?と思うかもしれませんが、ロッカーに預けている荷物であっても、支配管理下にあるのでカバンが被害者の占有を離れたとは言えないでしょうし、仮にカバンの持ち主の占有を離れていたとしても、ロッカーの中にある物は、ロッカーを管理するパチンコ店に占有が移転すると考えられます。
~窃盗の故意~
窃盗罪が成立するには窃盗の故意が必要となります。
窃盗の故意とは、不法領得の意思です。
不法領得の意思とは、権利者を排除して他人のものを自己の所有物として振る舞い、その経済的用法に従い利用又は処分する意思を意味します。
これを分かりやすく解説すると、その物に対して何の権利もない者が、その権利のある者を無視して、一般的な方法でその物を使用したり処分することです。
窃盗罪に限られず、財産犯罪が成立するには、この不法領得の意思が必要とされています。
◇公務員による犯罪◇
今回の事件では消防署職員が逮捕されていますが、逮捕された消防署職員は、窃盗の関与を否認しているようです。
警察に逮捕されている以上、警察の捜査では犯人である可能性が高いと判断されて逮捕されているのでしょうが「逮捕=犯人」ではありませんので、逮捕された消防署職員を窃盗犯人と決めつけるのは危険です。
ただ今回の報道を見ていただいたら分かるように、公務員による犯罪は、真実が明らかになる前に新聞等で大きく報じられ、所属勤務先や、実名、場合によっては住まいまで報道されることもしばしばです。
おそらく新聞記事を読んだり、報道を聞いたほとんどの方は、その後の捜査結果を知る機会がありませんので、今回逮捕報道された消防署職員を窃盗犯人だと信じてしまうのではないでしょうか。
このように、公務員による犯罪は、新聞等で大きく報道されてしまうため、刑事罰以外での不利益が大きく、本人だけでなくご家族の生活まで影響が出てしまう可能性もあるので注意しなければなりません。
◇公務員の窃盗事件に強い弁護士◇
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所堺支部は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所であり、これまで数多くの窃盗事件を扱い、正当防衛を主張してきた実績があります。
窃盗事件でお困りの公務員の方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所堺支部にご相談ください。