覚醒剤と知らずに覚醒剤を密輸しても犯罪ですか?
- 2023年8月29日
- コラム
覚醒剤と知らずに覚醒剤を密輸した事件について、、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
覚醒剤の密輸に関与して逮捕
堺市内に住むAさんは、外国に住んでいる知人から「金を密輸するので、届いたら▲※●に持っていって欲しい。報酬として10万円を支払う。」と依頼を受けました。
報酬欲しさに依頼を受けたAさんは、後日、自宅に届けられた国際郵便を受け取ったのですが、郵便物の中身は金ではなく数キロにも及ぶ覚醒剤だったらしく、Aさんは、大阪府関西空港警察署に、覚醒剤取締法違反(営利目的輸入罪)、関税法違反(無許可輸入罪)で逮捕されてしまいました。
Aさんは、「荷物は金塊だと思っていた」と一貫して覚醒剤輸入の故意を否認しているようです。
(フィクションです。)
覚醒剤取締法(営利目的輸入の罪)
覚醒剤の営利目的輸入の罪は、覚醒剤取締法41条2項に規定されています。
41条2項
営利の目的で前項の罪を犯した者は、無期若しくは3年以上の懲役に処し、又は情状により無期若しくは3年以上の懲役及び1000万円以下の罰金に処する。
「営利の目的」とは、犯人が自ら財産上の利益を得、又は第三者に得させることを動機、目的とする場合をいいます。
営利目的の存否は、犯人の主観にかかわるものですから、これを裏付ける決定的な証拠は犯人の自白しかありませんが、犯人が、自らの罪が重くなるような内容を簡単に自白するとも考えられません。
そのため警察等の捜査機関は、押収した覚醒剤の量や、犯行の手口、態様のほか、犯人の経済状況等にまで捜査の手を広めて、間接的な証拠を集めて営利目的を立証します。
覚醒剤の営利目的輸入罪は無期懲役刑が設けられている大変重たい罪ですので、この罪で警察に逮捕された場合、刑事事件に強い弁護士を選任し、その後の裁判に備えることをお勧めします。
無罪になる可能性は?
起訴されたとしても、その行為が罪とならない場合や、犯罪の証明ができない場合は、無罪となります。
この事は、刑事訴訟法336条で規定されています。
今回のような、覚醒剤取締法違反(営利目的輸入罪)において、警察等の捜査機関が有罪を得るために、証明すべき事項は
〇被告人が、覚醒剤を輸入したこと(客観的事実)
〇被告人が、輸入したものが覚醒剤であると認識していたこと(主観的事実=故意)
の2点となります。
この点、今回の事件では客観的事実については争うのが困難ですが、故意については争う価値があります。
実際に同じような事件で「被告人に覚醒剤を含む違法薬物の認識があったとまでは認められない」とし、故意を否定して無罪判決が言い渡された裁判例が存在します。
関税法違反は有罪
金の無許可輸入は、関税法111条1項1号で禁止されています。
関税法によると、金を無許可で輸入した罪に問われて、有罪が確定すれば、5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金が科せられ、場合によっては懲役刑と罰金刑が併科されることもあります。
また、覚醒剤などの禁制品輸入罪も関税法に規定されています(罰則:10年以下の懲役若しくは3000万円以下の罰金、又は併科)。
Aさんは覚醒剤を金と誤信して輸入したわけですが、いずれも「輸入してはならない」、という規範に直面している状況は同様です。
よって、この場合、輸入罪の故意に欠けることはなく、Aさんは無許可輸入罪の範囲で処罰されることになります。
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