覚醒剤使用事件で起訴されてからでも間に合います
- 2021年8月30日
- コラム
覚醒剤使用事件で起訴されてから私選弁護人に変更する場合について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所堺支部が解説します。
~事例~
大阪府泉佐野市に住む会社員のAは、覚醒剤使用による覚醒剤取締法違反で大阪府泉佐野警察署に逮捕、勾留されていました。
Aは、勾留満期となり、起訴されることになり、大阪拘置所へ移動することとなりました。
Aには国選弁護人が付いていましたが、Aの母は、他の弁護士の意見も聞きたいと刑事事件に強い私選弁護人に弁護活動を依頼するために初回接見サービスを利用しました。
接見後、弁護士からの報告を受けたAの母は、刑事事件に強い弁護士に私選弁護人として弁護活動を依頼することにしました。
(この事例はフィクションです。)
覚醒剤取締法では、覚せい剤の使用、所持、譲渡、輸出入等を禁止しています。
覚醒剤を使用したとして、覚醒剤取締法違反で起訴されて有罪が確定した場合、「10年以下の懲役」が科せられます。
~起訴後でも私選弁護人への変更は可能~
覚醒剤取締法違反やその他刑事事件で逮捕され、勾留が決定された場合、基本的に国選弁護人が選任されることになります。
刑事訴訟法第37条の2第1項
「被疑者において勾留状が発せられている場合において、被疑者が貧困その他の事由により弁護人を選任することができないときは、裁判官は、請求により、被疑者のため弁護人を付さなければならない。ただし、被疑者以外の者が選任した弁護人がある場合又は被疑者が釈放された場合は、この限りではない。」
国選弁護人を違う国選弁護人に変更することは基本的にできませんので、国選弁護人が選任されている方が弁護士を変更しようと思うと私選弁護人に変更する、ということになります。
国選弁護人は、弁護士を選ぶことができませんので、事件を起こしてしまった本人やご家族との相性が悪いこともあります。
その点、私選弁護人であれば、実際に話をしてからご依頼いただくかどうかの選択をすることができますので、信頼できる弁護士に依頼することができます。
今回の事例のように、国選弁護人から私選弁護人への変更は、起訴された後であっても可能です。
~保釈~
逮捕に引き続く身体拘束について、勾留があります。
この勾留については、起訴されるまでに、延長を含め最大で20日間の身体拘束になります。
そして、起訴された場合については引き続き起訴後勾留となります。
この起訴後勾留に対して行われる身体解放活動が保釈です。
保釈は、裁判所からの許可を受けたうえで、保釈保証金(保釈金)を裁判所に納めることで、釈放される制度です。
なお、保釈金は保釈の際に出される条件に違反することなく裁判が終了すれば返還されます。
保釈は請求したからといって必ず保釈許可決定が出るとは限りません。
そのため、弁護士は法律で定める保釈の要件を満たしていることをしっかりとアピールしていく必要があります。
保釈の要件は法律に規定されていますが、実際に裁判所が保釈の許可の判断をしていくうえで重要視する部分は事件や被告人によってさまざまです。
そのため、一人一人に合った丁寧な弁護活動が必要となるでしょう。