キセル乗車が詐欺事件に発展
- 2020年3月27日
- コラム
キセル乗車について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所堺支部が解説します。
◇キセル乗車が詐欺事件に◇
大阪府泉佐野市に住む会社員のAさんは、会社から交通費の支給がないことに不満を覚え、交通費を少しでも浮かそうとキセル乗車をしていました。
Aは最寄り駅から入場券で入場し、降りる駅で切符を失くしたと言って一番近い駅からの料金を申告し、本来払う額より少ない額の運賃で電車に乗っていました。
同じ駅員に当たってばれないように日にちを空けたりして、数カ月間繰り返していたところ、ある日駅員に止められ、不正乗車をしていると駅長室に連れていかれました。
その場で、大阪府泉佐野警察署の警察官からが来て、Aさんは詐欺の疑いで捜査されることになりました。
このままでは逮捕されてしまうのではないかと思ったAさんは、刑事事件に強い弁護士の無料法律相談へ行くことにしました。
(この事例はフィクションです。)
◇キセル乗車◇
キセル乗車とは、入場するときは入場券や一駅分の切符などを使用して改札を抜け、降りるときは降車駅から一駅分のキップを買ったり、駅員に失くしたと言って改札を通してもらったりといったように、入場時と退場時で違う方法を用いて改札を抜け、運賃を安く済ますという不正乗車のことです。
キセル乗車と呼ばれる所以は、昔のキセルは両端が金、真ん中が竹でできていたことから、入退場時にだけお金を払うことを表現してキセル乗車と名付けられたとされています。
キセル乗車のような不正乗車は、バレていないと思って常習的に行っていたりする場合、その態様によっては詐欺罪に問われ、金額や悪質性によっては逮捕されてしまう可能性もあります。
◇詐欺罪となるか◇
キセル乗車が刑事事件化してしまった場合、刑法上は詐欺となる可能性があります。
今回のAのように駅員に対して嘘を言ってだましているときは、刑法第246条に規定されている詐欺罪となる可能性が高いです。
しかし、現在は券売機も改札機も機械での処理となっている駅がほとんどですので、駅員に対する欺罔行為がないような場合も考えられます。
駅員に対する欺罔行為がない場合とは、例えば入場券で入場して電車に乗り、目的地にいる友人等に入場券を渡してもらい、その入場券で出るといった場合です。
このように人に対する欺罔行為がなく、機械に対する不正のみでキセル乗車を行った場合には、刑法第246条の2に規定されている電子計算機使用詐欺となる可能性があります。
電子計算機使用詐欺は機会に虚偽の情報若しくは不正の指令を与えて財産上不法の利益を得た場合などに適用されます。
罰則の規定はどちらも「10年以下の懲役」です。
また、乗り過ごして折り返す場合でも本来的にはその折り返した区間についても運賃を支払う必要がありますので、そのまま改札を出ずに折り返した場合も不正乗車となります。
ただ単に寝過ごしてしまったという場合に事件化する可能性は低いと思われますが、隣の駅までのキップを買い、一度終点まで行って改札は出ずに折り返して隣の駅で出るといった行為を繰り返し行って電子計算機等使用詐欺などで逮捕されたという例もあるので、注意が必要です。
◇刑事事件に強い弁護士◇
キセル乗車は不正に利用していた運賃を3倍で請求されたりといった民事上の責任だけでなく、刑法上の詐欺や電子計算機使用詐欺の他、鉄道営業法違反となる可能性がありますし、鉄道会社から告訴され、逮捕されてしまう可能性があります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所堺支部では刑事事件、詐欺事件に強い弁護士が無料法律相談、初回接見を行っています。
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