満員電車の痴漢事件 示談交渉を弁護士に依頼
- 2019年11月27日
- コラム
痴漢事件の示談交渉について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所堺支部が解説します。
◇痴漢事件と示談交渉◇
会社員のAさんは、毎朝電車を利用して通勤しています。
泉南市の自宅最寄りの駅から大阪市内まで、毎朝、満員電車を利用しているのですが、今朝、目の前に立っていた女性のお尻に触る痴漢事件を起こしてしまいました。
最初は故意的に触ったわけではなく、電車が揺れた時に偶然触ってしまったのですが、それに女性が何も反応しなったことから、故意的に何度か女性のお尻を撫でまわしてしまいました。
すると途中の駅に電車が停車した際に女性に腕を掴まれて電車から降ろされて「痴漢したでしょう。」と追及されたのです。
怖くなったAさんは、女性を振り払って逃げようとしましたが、騒ぎを聞いていた周囲の人に捕まってしまい、そのまま通報で駆け付けた大阪府岸和田警察署の警察官に警察署に連行され、取調べを受けました。
取調べでAさんは「手が当たった事実はあるが、故意的に触ったのではなく、電車が揺れた際に偶然当たっただけだ。」と痴漢の容疑を否認しました。
しかしAさんは5年前に痴漢事件を起こして罰金刑を受けた前科があり、警察官はAさんの言うことを全く信用していないようです。
その日の夕方まで取調べを受けた後に帰宅したAさんは、今後のことが不安なAさんは、刑事事件に強いと評判の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所堺支部に相談することにしました。
(フィクションです。)
◇痴漢事件◇
痴漢行為は、大阪府の迷惑防止条例(大阪府公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例)違反となります。
大阪府の迷惑防止条例では
第六条第一項第一号
人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で、公共の場所又は公共の乗物において、衣服等の上から、又は直接人の身体に触れること。
を禁止しており、これに違反し、起訴されて有罪が確定すると「6月以下の懲役又は50万円以下の罰金」です。
◇Aさんの事件を検討◇
Aさんは、最初に女性のお尻に触れた時は故意的に触ったわけではありませんので、この行為だけでは痴漢行為には当たらないでしょうが、その後、故意的に女性のお尻を撫でまわしているので、後の行為については痴漢となります。
痴漢の故意については諸説ありますが、他人の身体に触れる意思があれば痴漢の故意が認められるという説が有力で、行為者に明確なわいせつの目的までは要求されていません。
~逃走は逮捕のリスクが高くなる~
満員電車の中で発生したような痴漢事件は、目撃者の証言等を得ることが難しいために、被害者の証言と、被疑者の供述以外の証拠が乏しいものです。
そのため警察等の捜査は被害者の証言がベースとなって進むので、「やっていない。」と言ってもなかなか信じてもらうことができず、後にそれを証明するのも非常に困難です。
それ故に、痴漢を疑われたら逃げるのがベストだという意見がありますが、警察等の捜査当局は「やましいことがあるから逃げる」と判断しがちです。ですので逃走することは、逮捕のリスクが高まるのでお勧めできません。
◇示談を検討◇
痴漢事件は、被害者と示談することで処分の軽減が望める事件です。
ただ刑事事件における示談は、罪を認めて被害者に謝罪し許しを得ることですので、容疑を否認している場合は、被害者に謝罪の意思が伝わらず示談を成立させることは非常に困難です。
逆に容疑を認めている場合は、誠意をもって謝罪の意思を被害者に伝えると共に、被害弁償することで示談が成立する可能性は十分にあり、そうなれば刑事罰を免れることができる可能性も高くなります。
Aさんのように、過去に痴漢事件で刑事罰を受けた歴のある方でも、被害者との示談が成立すれば不起訴になる可能性も十分にありますので、痴漢事件を起こして処分の軽減を求める方は、早急に刑事事件に強い弁護士に相談することをお勧めします。