寝たばこによる火災 重過失失火罪の容疑
- 2020年1月20日
- コラム
寝たばこによる火災で、重過失失火罪の容疑をかけられた場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所堺支部が解説します。
寝たばこによる火災
堺市北区の賃貸アパートに一人で暮らすAさんは、一日タバコ2箱を吸う大のタバコ好きです。
Aさんは、寝る前に布団の横になってタバコを吸うことを習慣としていたところ、この日は、仕事の残業時間が長引き、吸い終わったタバコ火を布団横に置いていた灰皿できちんと消したことすら覚えていない程疲れていました。
そうしたところ、Aさんが寝入ってから30分程経過した後、消し損ねたタバコの火が布団に引火し、アパート一室の壁や柱を焼損してしまいました。
Aさんは慌てて110番通報し、自身や消防隊の消火活動により火は消し止められました。
その後、警視庁向島警察署などの調べにより出火の原因が、Aさんのタバコの不始末によるものであることが判明し、Aさんは重過失失火罪の被疑者として事情を聴かれることになりました。
今後のことが不安になったAさんは、刑事事件専門の弁護士に無料相談しました。
(フィクションです。)
失火罪
失火罪は刑法116条1項、2項に規定されています。
刑法116条1項
失火により、第108条に規定する物又は他人の所有に係る第109条に規定する物を焼損した者は、50万円以下の罰金に処する。
(2項は本件とは関係ないことから省略します)
「失火」とは、過失(注意義務違反)によって出火させることをいいます。
「108条に規定する物」とは、犯人以外の現に人が住んでいる、いる建造物等をいいます。
「他人の所有に係る第109条に規定する物」とは、他人が所有する、人が住んでいない、いない建造物等をいいます。
重過失失火罪
重過失失火罪は刑法117条の2に規定されています。
刑法117条の2
第116条又は前条1項の行為が業務上必要な注意を怠ったことによるとき、又は重大な過失によるときは、3年以下の禁錮又は150万円以下の罰金に処する。
「重大な過失」=「重過失」とは、注意義務違反の程度が著しいことをいいます。
すなわち、わずかな注意を払えば結果の発生を回避できた場合をいいます。他に、失火罪との違いは、禁錮刑が規定されていること、罰金額は大きいことです。
失火罪と重過失失火罪の違い
この点は、どこからが失火罪で、どこからが重過失失火罪なのか線引きすることはなかなんか難しいと思われます。
それは、失火罪か重過失失火罪かは、当該事件の具体的状況等を総合して判断されるところで、事件にはそれぞれ異なる事情があり一概に判断することはできないのではないでしょうか。
寝たばこによる火災の場合
本件の場合、Aさんが布団という燃えやすい物の横(どれくらい離れているかは不明ですが)に火元となりうる灰皿を置いていたことは大きな失態というべきでしょう。
灰皿はベランダ等周囲に可燃性の物がない場所に設置するべきですし、かつ、そのことはAさんにとっても容易だったといえるからです。
この点だけをみると、Aさんが重過失失火罪の被疑者とされていることが理解できるのではないでしょうか?
失火罪に強い弁護士
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