単なる落書きが刑事事件に
- 2020年1月3日
- コラム
落書きが刑事事件になる場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所堺支部が解説します。
~事件~
大阪府河内長野市の製造会社に勤めるAさんは、会社の上司から日常的にパワハラまがいの叱責を受けており、ストレスをため込んでいました。
ずっと我慢してきましたが、ついに我慢できなくなったAさんは、上司の家の外壁に、スプレーで上司の悪口を書きなぐりました。
上司が警察に被害届を出したらしく、その後の捜査でAさんの犯行であることが発覚し、犯行から1ケ月以上が経過してから、Aさんは、大阪府河内長野警察署に逮捕されてしまいました。
逮捕の連絡を受けた両親は刑事事件に強い弁護士に初回接見を依頼しました。
(この事例フィクション)
落書きが刑事事件になる場合
今回の事例の落書きについては、さまざまな可能性が考えられます。
まず、今回Aさんが逮捕されてしまった建造物損壊罪が挙げられます。
建造物損壊罪
他人の建造物を損壊した者は、建造物損壊に当たり、起訴されて有罪が確定すると「5年以下の懲役」に処されます。
建造物損壊罪は罰金刑が規定されておらず、比較的重い罪であると言えます。
罰金刑が規定されていないということは起訴されてしまうと裁判となってしまい、無罪を獲得できなければ、執行猶予判決を獲得しない限り実刑判決となってしまいます。
損壊とは、物理的にその建造物の全部または一部の使用価値を滅却、減損することをいいます。
落書きの他にも、例えば過剰なビラ貼り行為についてもその建造物の美観を侵害したり使用価値を減損したりする場合にもこの損壊に当たり、建造物損壊となる可能性があります。
ただ、一見して建造物の一部に見えたとしても、自由に簡単に取り外すことができるようなものが損壊の対象になった場合には、建造物損壊の対象ではなく、器物損壊の対象となる可能性もあります。
次に今回のAのように落書きの内容が上司の悪口であった場合についてです。
この場合、名誉毀損罪や侮辱罪となる可能性があります。
名誉毀損・侮辱
名誉毀損は公然と真実又は虚偽の事実を適示し、他人の名誉を毀損することで成立します。
罰則については「3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金」が規定されています。
公然性については不特定又は多数の人が知ることのできる状態におくことを指しますので、今回のAさんのように他人の家の外壁にスプレーで落書きしたような場合には、公然性が認められる可能性が高いです。
そして、真実又は虚偽の事実とは、人の名誉を低下させるおそれのある具体的事実を適示することをいいます。
この具体的事実を適示しない、単なる悪口などの場合には侮辱罪となる可能性があり、こちらの罰則は「拘留又は科料」となっています。
今回のAについて、落書きで書いた上司の悪口の中に事実を適示するものがあれば名誉毀損、なければ侮辱罪となる可能性があります。
このように、ただのいたずらだと思っていても落書きは刑事事件となってしまう可能性がありますので、すぐに刑事事件に強い弁護士の見解を聞くようにしましょう。
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