堺市の盗品等事件 盗品等有償譲受罪で逮捕
- 2023年2月8日
- コラム
堺市の盗品等事件で逮捕された事件を参考に、盗品等有償譲受罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事件~
堺市でリサイクルショップを営むAさんは、友人の紹介で工具を売りに来たお客さんからは、工具の出所を確認することなく、身分確認も適当にして買い取り業務を行っていました。
その様な経営実態だったことから、2年ほど前に、大阪府西堺警察署から指導を受け、改善するように指示されていましたが、改善せずに業務を続けていたところ、3日前に、大阪府西堺警察署に、盗品等有償譲受罪でAさんは逮捕されてしまいました。
(フィクションです。)
~盗品等有償譲受罪~
盗品その他財産に対する犯罪の被害品を買い取ったら盗品等有償譲受罪となります。
この法律の客体となる「盗品等」とは、財産に対する犯罪の被害品のことです。
対象となる財産に対する犯罪とは、窃盗罪、詐欺罪、恐喝罪、横領罪、背任罪、強盗罪等です。
盗品等有償譲受罪が成立するためには、財産に対する犯罪が既遂に達していることが前提となりますが、有責であることまでは必要としません。
例えば、14歳以下の刑事未成年者が盗んだ物を買い取ったり、既に公訴時効が成立している詐欺事件の被害品を買い取った場合でも、盗品等有償譲受罪は成立するのです。
盗品等有償譲受罪の法定刑は「10年以下の懲役及び50万円以下の罰金」です。
起訴されて有罪が確定すれば、懲役刑と罰金刑の両方が科せられることになるので注意しなければなりません。
~故意~
盗品等有償譲受罪は故意犯です。
譲り受ける際に、盗品等のである認識が譲り受ける人になければなりません。
しかしこの認識は、買い取る物がどんな犯罪によって得られたものか等の詳細まで把握する必要はなく、何らかの財産犯によって得られた物である程度の認識があれば故意が認められるとされています。
ちなみに、譲り受けた後に盗品等であることを知った場合は、盗品等有償譲受罪の故意は否定されます。(盗品等保管罪に抵触する可能性がある)
Aさんの事件の場合、Aさんはリサイクルショップを経営している立場にあるので、買い取る商品については、最低限の調査を行う義務が生じると考えられるのが一般的で、この義務を怠ったことで過去に警察から指導されています。
この様な背景があれば、故意を否認するのは難しいかもしれません。