執行猶予の獲得に強い弁護士②(過去に服役経験がある場合)
- 2020年2月18日
- コラム
過去に服役経験がある場合の執行猶予の獲得について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所堺支部が解説します。
◇万引きの再犯で執行猶予を目指す◇
新聞配達員のAさんは、一週間前に、堺市内のスーパーで万引きして、店員に現行犯逮捕され、現在は、大阪府北堺警察署に勾留されて、取調べを受けています。
Aさんは、これまでも万引き事件で警察に逮捕された前科があり、最後に逮捕されたのは、10年前で、その時の処分は、「懲役2年の実刑判決」でした。
今回の万引き行為を認めているAさんは、執行猶予の獲得に強いと評判の弁護士を探しています。
(フィクションです。)
◇執行猶予の獲得◇
Aさんは10年前に窃盗罪で懲役2年の有罪判決を受け、刑務所に行った前科を持っています。
一般に、何か犯罪をしてしまった時、前科、特に同種前科がある場合には、処罰は重くくだされる傾向にあります。
万引きの初犯で被害額が小さい場合には、お店への弁償等の状況によっては微罪処分や不起訴処分となることも多いですが、それが2回目3回目…と繰り返されれば、罰金でも済まず公判請求され、刑事裁判となることになります。
そして、前回の記事でも掲載した通り、窃盗罪の刑罰は「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」と定められていますから(刑法235条)、窃盗罪を繰り返せばより重い懲役刑を下され、刑務所へ行くことも考えられます。
実際にAさんは10年前にその懲役刑を受けることになっています。
では、過去に窃盗罪で懲役刑を受けた前科があれば、その後窃盗罪を犯してしまった時には必ず刑務所へ行かなければならないのでしょうか。
もう一度執行猶予の条件について定めた条文を確認してみましょう。
刑法25条(刑の全部の執行猶予)
第1項 次に掲げる者が3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金の言渡しを受けたときは、情状により、裁判が確定した日から1年以上5年以下の期間、その刑の全部の執行を猶予することができる。
1号 前に禁錮以上の刑に処せられたことがない者
2号 前に禁錮以上の刑に処せられたことがあっても、その執行を終わった日又はその執行の免除を得た日から5年以内に禁錮以上の刑に処せられたことがない者
前回の記事のケースのように、初めて公判請求され刑事裁判を受けるというような場合には、この刑法25条1項1号の条件に当てはまることから、言い渡される刑罰が3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金であれば執行猶予をつけることができます。
今回のケースの場合には、その次の号に当てはまる可能性が出てきます。
刑法25条1項2号では、刑務所に行ったことのある前科のある人について執行猶予をつける際の条件を決めています。
この条文によると、過去に刑務所に行ったことのある前科があったとしても、「その執行を終わった日又はその執行の免除を得た日から5年以内に禁錮以上の刑に処せられたことがな」ければ、言い渡された刑が3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金であるとき執行猶予をつけることができるとされています。
つまり、過去に前科があったとしても、相当の期間刑事事件を起こさず刑務所に行くことなく経過していれば、執行猶予付き判決を獲得できる可能性はあるということになります。
Aさんの場合、10年前に懲役2年の有罪判決を下されていることから、刑務所での懲役を終えて出所したのが8年前となります。
そこから刑事事件を起こさず刑務所に行くことなくに今回の窃盗事件を起こしたとすれば、「執行を終わった日」から「5年以内に禁錮以上の刑に処せられたことがない」ということになります。
ですから、Aさんは刑法25条1項2号の条件に当てはまり、言渡された刑罰の重さによっては、Aさんにも執行猶予がつけられる可能性は十分に考えられるということになります。
◇公判請求を避けられる?◇
万引き事件で再犯を繰り返した場合、不起訴(微罪処分)⇒略式起訴(罰金刑)⇒執行猶予⇒実刑といった感じで、刑事罰が段々と重くなります。
ただAさんの場合、前刑から10年も経過しているので、起訴を回避することによって、刑務所への服役を避けることが可能になります。
服役を回避するためには、窃盗行為の被害者や被害店舗との示談締結が必要不可欠となってくるでしょう。
そのためには、弁護士の手助けを受けながら、示談のために必要な手続きや示談の内容について検討していくことが望ましいでしょう。
示談の締結は、公判請求され裁判となった場合でも、執行猶予獲得のための大きな材料となりますので、早期から弁護士に示談交渉を含めた弁護活動を相談しましょう。
◇執行猶予の獲得に強い弁護士◇
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所堺支部では、前科がある方でも、執行猶予の獲得を目指した弁護活動を推進しています。
万引き事件で執行猶予の獲得に強い弁護士をお探しの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所堺支部にご相談ください。