傷害事件で警察に被害届を出された
- 2020年10月30日
- コラム
傷害事件で警察に被害届を出された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所堺支部が解説します。
傷害事件
岸和田市の印刷会社に勤務するAさんは、職場の上司から、新しく入社した社員の指導を命じられました。
その新入社員はAさんの指導に全く従わず、Aさんの指示を無視することが度々あり、Aさんは新入社員に対して鬱憤をつのらせていました。
そんな中、新入社員が機械を操作中に手順を誤り、他の作業員が怪我をしてしまいました。Aさんの我慢は限界に達し、Aさんは新入社員を叱責する際に、思わず新入社員の胸倉を掴んで壁に身体を押し付けたのです。
するとその翌日、新入社員は会社を無断欠勤しました。
そして新入社員から「昨日Aさんに指導される際に暴行を受けて怪我をした。病院で診断書が出たので警察署に被害届を提出します。」と会社に電話がありました。
(フィクションです。)
傷害事件
傷害事件とは、刑法第204条に定められている法律で、起訴されて有罪が確定すれば15年以下の懲役又は50万円以下の罰金が科せられます。
傷害罪は、その条文に明記されている通り、人の身体を傷害させた場合に成立する犯罪で、傷害の手段は「暴行」が一般的ですが、暴行以外の無形的方法や、不作為によって傷害を負わせた場合も傷害罪が成立する可能性があります。
警察に被害届を出されると
被害届とは
被害届とは、警察等の捜査機関に犯罪被害を申告すると共に、犯人の刑事処罰を望む意思を明らかにする司法書類です。
警察等の捜査機関にとって、被害届は、犯罪捜査を開始する端緒となり、被害届が提出されることによって警察等の捜査当局は捜査を開始します。
警察の捜査(傷害事件の場合)
まず警察は、被害者から事情聴取をしたり、実況見分を行って、被害の状況を明らかにするとともに、これらの捜査に対する裏付けを行います。
そして警察は、防犯カメラの映像を調べたり、目撃者の証言を得たりして、被害者の供述を裏付けるための客観的な証拠を収集します。
またこういった捜査に並行して犯人(被疑者)の割り出しを行います。
今回の事件の場合は、職場で起こった事件なので被疑者は明らかですが、被害者や目撃者が犯人に心当たりがない場合は、何処の誰が犯人なのか捜査するのです。
こうした捜査によって犯罪と犯人を明らかにして犯人の取調べが行われるのです。
逮捕される可能性
犯人の取調べは、逮捕してから行う強制的なものと、逮捕せずに行う任意的なもの(いわゆる在宅捜査)に分類されます。
警察等の捜査当局は、事件の内容や、犯人の仕事、家族関係、前科・前歴等を総合的に判断して逮捕するかどうかを判断するのですが、今回ようなケースの事件では
・犯行が偶発的な犯行である。
・被害者の傷害が軽い。
・Aさんの身元が明らかで、証拠隠滅や逃走のおそれが低い。
という理由から、逮捕されるリスクは低いと考えられます。
ただ、Aさんと被害者が同じ職場で勤務しているので、加害者であるAさんが、被害者と容易に接触する可能性があることは逮捕されるリスクを高める理由になります。
早期に示談を
このような傷害事件の場合、被害者と示談することによって、刑事処分が軽減される可能性が大です。
ただ加害者本人が被害者に示談を申し出ることは「被害者を威迫して被害届の取り下げを迫った。」と判断されることはあるので、被害者との示談は専門の弁護士に依頼することをお勧めします。
傷害事件に強い弁護士
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所堺支部は、傷害事件等の刑事事件を専門に扱っている法律事務所です。
ご家族、ご友人が警察に逮捕されてしまった方、刑事事件を起こしてしまった方からの法律相談を無料で承っておりますので、刑事事件にお困りの方はお気軽にフリーダイヤル0120-631-881までお問い合わせください。