特殊詐欺で「一人二役」 大阪府警が逮捕
- 2021年12月9日
- コラム
特殊詐欺で「出し子」と「受け子」の「一人二役」をして高齢者から現金を騙し取っていた男が大阪府警に逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所堺支部が解説します。
連日のように特殊詐欺事件に関するニュースが報道されていますが、本日ご紹介するのは、警察官を装って高齢者から現金を騙し取って大阪府警に逮捕された男の事件です。
特殊詐欺事件は、電話して被害者を騙す「かけ子」、被害者から実際にキャッシュカードや現金を受け取る「受け子」、被害者から騙し取ったキャッシュカードを利用してATM機から現金を引き出す「出し子」といったように、細かく役割分担されているのが特徴で、複数人が一つの事件に関わっています。
今回大阪府警に逮捕された男は、「受け子」と「出し子」という二つの役を一人で担当していたようで、被害にあった高齢者は複数人に及ぶとみられています。
受け子
特殊詐欺グループ内で、実際に被害者のもとに行って、被害者から現金や、キャッシュカードを受け取る役目を「受け子」といいます。
受け子は、銀行員等の金融機関の職員や、警察官、市役所等の職員、被害者の身内が勤める会社の同僚等を装って被害者に接触することが多く、スーツやネクタイを着用して、一見すると身だしなみがきちんとしているようです。
出し子
受け子が被害者から騙し取ったキャッシュカードを利用して、ATM機から現金を引き出す役目が「出し子」です。
被害者が被害に気付いてキャッシュカードの取り引きを停止するまでに口座内の預金をできるだけ多く引き出さなければいけない出し子は、短時間に複数のATM機をまわる必要があるようです。
警察に逮捕されるの?
特殊詐欺事件の「受け子」や「出し子」に加担したことが発覚すれば、警察に逮捕されるでしょう。
警察は「受け子」や「出し子」の特徴に目を付け、サイズの合っていないスーツを着用している、多額の現金をATM機から引き出しているといったことを理由に職務質問して、「受け子」や「出し子」を逮捕しているようです。
そして逮捕した「受け子」や「出し子」から、特殊詐欺グループの摘発につながる証拠を得ようとするので、逮捕後の身体拘束が長期間に及んでしまうことも珍しくありません。
何の罪になるの?
まず「受け子」に関しては、詐欺罪が適用されるケースがほとんどですが、被害者からキャッシュカードや現金を受け取る状況によっては窃盗罪が成立することもあります。
続いて「出し子」については、特殊詐欺への関与を立証できれば詐欺罪が適用されますが、それができなければ、他人のキャッシュカードを利用してATM機から現金を引き出したという事実の窃盗罪が適用されます。
詐欺罪と窃盗罪の違い
詐欺罪と窃盗罪では法定刑が異なります。
詐欺罪の場合は「10年以下の懲役」ですが、窃盗罪は「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」です。
懲役刑に関しては上限が同じですが、窃盗罪に規定されている罰金刑が詐欺罪には規定されていません。
詐欺罪が適用された場合は、起訴されると必ず法廷での公開裁判を受けることになりますが、窃盗罪が適用されると、略式起訴による罰金刑の場合は、法廷での公開裁判を受けることはありません。
特殊詐欺事件に強い弁護士
特殊詐欺事件は、初犯であっても実刑判決が言い渡される可能性のある事件です。
ご家族等が特殊詐欺事件で逮捕されてしまった方は、少しでも早く弁護士を選任して的確な弁護活動を行うことをお勧めします。
特殊詐欺事件の弁護活動に精通した弁護士をお探しの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にお問い合わせください。
特殊詐欺事件に関するご相談はフリーダイヤル0120-631-881(24時間受付中)にて承っております。